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ネット駆使し宿泊旅行拡大を 全旅連・佐藤信幸会長―楽天トラベル・岡武公士社長対談(2)

―プランづくりでアドバイスはありますか。

岡武 多様化する消費者に対応できる多くのプランを掲載していただくのは、ネットエージェント側としても望むところです。加えて弊社には「Rメール」というツールがあります。これは旅館が楽天トラベルのなかで、プレゼント企画などを行い、応募者のメールアドレスを集め、そのメールアドレスに個々の旅館の宿泊プランなどを配信するサービスです。Rメールは相手を性別、年齢、住所などでカテゴリー分けして送ることができますので、相手にあったプランを案内することが可能です。無料ですので、こうした販促手法も使っていただきたいですね。現在、約3千施設がRメールを利用しています。なかには30万件のアドレスを集めている旅館さんがあります。

佐藤会長「旅館の個性を市場に」 岡武社長「着地型旅行に関心」

―着地型旅行の可能性をどう思いますか。

岡武 ネットとはとても親和性のある分野だと思いますし、すごく関心があります。実はネットの世界でも、旅行先でなにをしてもらうのかという分野には、まだほとんど手がついていません。地域にどんな魅力があるのかといったことや、地域の旅行商品の代理販売にも関心があります。

―全旅連と楽天トラベルの関係は良好ですか。

岡武 手数料率などについての声は今もいただきます。例えば現状では送客手数料が最高9%、それにポイントをつけて、クレジットカード決済がつけば12―13%程度になります。ただ、リアルエージェントなら15%以上が一般的ですし、私たちの計算では個別のHPで集客する場合も、異論はありますが、予約1件あたり平均12―13%はコストがかかると考えています。サイト維持費やリスティング広告などの費用がかかるからです。そうした点からも、今の手数料が常識から逸脱したものだとは思っていません。なにより競合相手もありますし、逸脱していれば旅館さんから選んでいただけません。

佐藤 手数料などの問題については、話し合いの機会をつくるなど真摯に対応してもらっていると受け止めています。今後も、そうした問題も含めて、お互いに話し合って旅行を盛り上げていければいいと思います。楽天トラベルに全旅連シルバースター登録旅館のコンテンツが6月10日に開設されます。「人に優しい宿」として楽天トラベルのトップページから入れるシルバースター登録旅館の予約ページです。これにより高齢者や障がい者の利用に配慮したシルバースター制度の認知度が高まり、利用者が増え、また、現在9百数十軒の登録施設が、さらに増えることを期待しています。

―国内宿泊旅行の魅力アップにどのように取り組み、どう支援しますか。

岡武 1つの例ですが楽天市場では都道府県の知事にブログを書いてもらっています。地域のトップが自ら、地域の情報を発信する試みです。これを観光に特化した形でもやりたいと思っています。例えば、「山形県」で検索したときに、山形県知事の旅行に関するブログにヒットする。それは興味を持って読んでもらえるのではないでしょうか。旅行需要の喚起につながると思います。

佐藤 今は売上高などの数字はなかなか伸びません。数字だけを追いかけると、たいへん厳しい。さらに、お客さまが多様化したことで、それに関するデータ処理、事務処理に時間がかかっている現状もあります。接客業務でありながら、働く時間のどれくらいを接客に費やせているのかという問題や、バック部門のコスト増の問題です。こうしたことは企画商品が多ければ多いほど、また、お客さまが多様化すればするほど、顕著です。しかし、そのなかでもはっきりしているのは、私たち旅館は今よりもっと接客の時間を増やす必要があるということです。すでにコストをぎりぎりまで削減しているなかで、それを実現するには、集客の仕組みを含め、経営の仕組みを変えることだと思います。今はいろいろな個性ある旅館があっていい時代です。そうした旅館を市場に届けるのがインターネットだと思います。

(トラベルニュースat 09年6月10日号)

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