楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

業界発展は地域活性から 日観連・近兼孝休会長―全旅・池田孝昭社長対談(1)

地域の活性化なくして我々の発展もない―。地元ANTA会員が地域住民と協力して旅行商品を企画、送客する地旅博覧会のプレ開催を今年予定している全旅の池田孝昭社長と、今年創立60周年を迎え、地域に密着した宿づくりの推進や組織再編の旗を振る日本観光旅館連盟の近兼孝休会長。互いに掲げる地域活性化を軸にした取り組みと、それぞれの組織の方向性や今後の考えを聞いた。

―全旅の池田社長は11年前から、着地型観光の普及に努められ、昨年は地旅大賞を発表され、観光業界で大きな話題になりました。今年の方針をお聞かせ下さい。

池田 昨年は東北や関西、九州など全国各地で地旅大賞に入選したツアーの検証を行いました。どれだけ集客ができて、何が問題だったのか、地旅推進ネットワークのメンバーや行政関係団体など、多いところでは50人以上にご参加いただき、盛況でした。

―どのような意見が多かったのでしょうか。

池田 全体的に地旅に対する期待度が高く、商品造成に取り組みたいという考えが主流でした。反面、造ったが売れなかった、売り方がわからない、儲けにつながらない、だからどうすればいいのか、といった質問も多く投げかけられました。この点については値づけを発地、いわゆるマーケット側に委ねることが大事だとお話しました。地旅商品を造った側がピンポイントでANTA会員と販売方法を相談し合う"共販"の態勢が必要になってくるからです。儲けにつながらないといった声もありますが、我々中小旅行会社は地旅商品を造ることで、今まで以上に地域と密接にならないと生き残っていけないと思うのです。

―近兼会長も日観連会員旅館は、地域の発展なくして宿の発展はない、と言っておられますね。

近兼 農林水産や商工業など、地場産業との関わりを大事にすれば、その産業から必ず応援していただけます。地産地消を意識した食の提供をするにしても、まず地元に愛される宿でないと始まりません。旅館ホテルの宿泊代は雇用や地域社会の様々な分野に配分され、地域活性化の重要な役割を担っているという自負を持つべきです。そういう自負心を持ちながら、地元を大事にする宿づくりの輪を全国の日観連の仲間に広げ、仲間のためにお互いが知恵を出し合える組織になるよう努めたく思っています。地域へのこだわり、といった点では我々のホームページ「やど日本」で「わが宿わが街」というコーナーを設けています。会員向けの機関誌「やど日本マガジン」に掲載している記事をデータ化したもので、宿とその地域の魅力や宿と地域づくりのかかわりを紹介し、少しでも宿と地域の関連性を訴えています。

池田 我々は来年、全国で地旅博覧会を開催できるよう準備を進めています。今年はプレになりますので、博覧会のモデル地区を検討しているところです。地旅博覧会といっても、通常開かれているような見本市的なものやパビリオンで構成するわけではありません。様々な地域イベントと共催する形で開催し、地元ANTA会員が地域住民と協力して企画造成したその地域ならではの商品をANTA会員が販売、送客するというものです。近兼会長のお話を聞いていると、日観連さんと考え方は同じ方向です。

全旅池田社長  日観連近兼会長

株式会社全旅社長・池田孝昭さん(左)と
社団法人日本観光旅館連盟会長・近兼孝休さん

購読申し込み
地旅
夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ