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「前に進むのみ」 佐藤義正さん(国際観光旅館連盟会長)(2)

―新組織に継承すべき国観連のDNAとはなんですか。

宿をカテゴライズし発信

佐藤 日本の旅館の姿をしっかりと継承したいということです。

この点については、どちらの組織も生い立ちは日本旅館の集まりですから心配していません。世界から見て魅力のある旅館、泊まりたいと思ってもらえる旅館であり続けたい。そのための努力が必要だと考えています。

観光庁がまとめた2010年版の訪日旅行者のアンケートでは、訪日時に温泉入浴体験者が38%あり、次回の体験希望率が51%です。これに対し、旅館の宿泊体験率が53%あり、次回の宿泊希望率が33%です。温泉入浴は希望率が増えているのに、旅館は減っている。宿泊して期待はずれ、と考えている旅行者がいるということです。

理由としては、低価格のパッケージツアーでの旅館利用が考えられます。例えば、きちんとした日本料理を期待していたのに、朝も夜もバイキングだったとか、本来の伝統的な日本旅館のもてなしを体験していないのではないでしょうか。

低価格のツアーは、インバウンドの量的拡大に貢献していますが、伝統的な日本旅館に対する期待と、提供する内容にミスマッチが生じている可能性があります。そうした意味からも、伝統的なサービスを提供している施設を旅館と定義し、それを国観連がRYOKANという名称で情報発信し、世界に定着させる努力が必要です。

低価格で合理的なサービスを提供する宿泊施設も必要ですが、伝統的で高品質のサービスを提供している施設が同じカテゴリーで認知されてしまうと、日本旅館というブランドの発信力が弱くなってしまう。旅館と名乗るために必要な要件を再整理し、カテゴリーを明確にすることが必要です。レイティングではなく、カテゴライズです。

例えばですが、「低価格で家庭的で小旅館」、「低価格で合理的なサービスを提供する大型旅館」、「高額で伝統的な旅館」、こうしたカテゴライズを行い新組織のなかですべての宿泊施設が共存していく。インバウンド誘客もカテゴリーに分けて取り組めば、より効果的なはずです。新組織発足に向けては、国観連として、こうした提案もしていくつもりです。

(トラベルニュースat 11年9月10日号)

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