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スポーツ観光元年2012(3) コミッション設立し地域の推進力に

地域におけるスポーツ観光推進を担うのがスポーツコミッション。産業界や自治体などで構成される実務的な組織だ。関西では昨年7月、「スポーツコミッション関西」の準備委員会が立ち上がり、4月には正式に発足予定。スポーツで地域を活性化させようという動きが本格化してきた。

スポーツコミッション関西には運動具メーカーや関西経済同友会、大学など約20会員が参加。関西はスポーツ産業の集積地で、体育・健康系大学が多いなどの土壌を背景に、関西経済同友会が2007年に設立を提言。「スポーツ+(プラス)」を活動理念に、各産業の連携の"触媒装置"として活動していく。

設立後は、イベント誘致や既存のスポーツイベントの活性化などに取り組む予定で、観光ももちろん視野に入れる。現在はスポーツと「ツーリズム」「食」の連携を学ぶセミナーの開催や、その波及効果の研究などの活動を展開している。昨年末のセミナーでは、"草スポーツの祭典"コーポレートゲームズや、プロ野球球団運営という実例からスポーツのビジネス活用を学んだ。

準備委員会事務局長の田村匡さんは、昨年末に観光庁が開いた「スポーツ観光人材育成研修初級編」近畿会場の座談会でスポーツコミッションのあり方について語った。

「スポーツによるまちづくりは経済が絡むので観光が中心になる。一方で、本来はブランドづくりそのものなので、自治体が関係するコミッション=推進組織が必要」

実際に自治体レベルでスポーツ観光に積極的な地域も出てきた。昨年10月、国内初めてのスポーツコミッションとして、さいたま市の「さいたまスポーツコミッション」が誕生。イベントのコーディネートから観光メニューの提案まで一手に担う。関西とは形態が異なるが、地域活性化という目指すところは同じだ。

スポーツコミッション関西は現在、経済団体主体だが、セミナーには大阪市など中核都市も参加。田村さんは「手を取り合っていきたい」と連携を視野に入れている。

欧米では先例が多く、特にアメリカでは約500のコミッションが活発に活動し、地域のスポーツ・ツーリズムを売り出している。田村さんは「アメリカでは各地のコミッションと地域のイベント運営者が集う商談会がある。日本でも各地にコミッションができると面白い」と全国的なネットワーク化に理想像を描く。

また、インバウンドにもスポーツ観光は効果的だという。「観光は今後の関西経済の1つの柱。外からきて消費してもらう、地域での雇用効果を生むという一番いいシステムができる。観光にとってスポーツは有望なコンテンツだが、大阪でもまだ知られていないスポーツ大会が多い。台湾や中国とバスケットボールで連携など考えられることは多い」。

県レベルで活発に動くのが沖縄県だ。県文化スポーツ観光部が誕生し、南国の温暖な気候、豊かな自然を生かしたスポーツツーリズムを推進。プロ野球やサッカーJリーグのキャンプ誘致という「観るスポーツ」から、サイクリングやマラソンといった「するスポーツ」まで、"スポーツ観光王国"を目指して取り組みを進めている。

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