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「観光でつくる日本のチカラ」―新しい観光立国推進基本計画へ

11/02/25

観光庁が「観光立国推進基本計画」を見直す。2007年に策定した現行の計画は10年、10年度末を目標達成時として、年間の訪日外国人旅行者数1千万人や日本人の海外旅行者数2千万人など5つの項目について数値目標を掲げていた。しかし、主要項目はいずれも未達。計画には3年後(11年6月)をめどに見直しを行うと明記していたことから改定の検討を始めた。「観光でつくる日本のチカラ」をサブテーマ案に掲げて、数値の見直し、旅行者満足度などの新しい目標項目を盛り込む予定。6月ごろには閣議決定を経て通常国会への提出を目指す。

現行の観光立国推進基本計画は、10年に「訪日外国人旅行者数1千万人」と「日本人の海外旅行者数2千万人」、10年度に「国内における観光旅行消費額30兆円」と「日本人の国内観光旅行による1人当たりの宿泊数4泊」、11年に「我が国における国際会議の開催件数5割以上増加」を掲げていた。直近の数値でいずれも861万2千人(推計値)、1663万7千人(同)、22兆1千億円(10年度)、2.56泊(同)、46.4%増だった。

観光庁では、計画策定からの3年間で「リーマン・ショックに端を発する世界的な景気後退、円高の進行や新型インフルエンザの流行等」の外的要因のほか、政府の取り組みが「十分でなかった面も否定できない」と総括。加えて、新成長戦略に「観光」が挙げられたことや、若年層を中心とした旅行しない風潮の蔓延、東アジアの急速な経済成長といった、観光をめぐる状況の変化から、計画の改定を決めた。

新しい観光立国推進基本計画の原案は、①観光で日本経済を元気にする②観光が持つ他面的な意義の最大化③国民全員参加による観光立国の実現に向けた意識改革―を基本的な方針としている。また、現計画では5つだった数値目標の項目を19項目に増やすことも予定している。

具体的には、観光がもたらす経済的な効果を重視し、従来からの国内における観光旅行消費額はもちろん、それに伴う新規雇用も明記する。GDPに占める観光由来分の割合も目標に掲げる。訪日旅行については、13年の1500万人など人数目標のほか、満足度や再訪意向などにも目標値を設定する予定。国際会議については、国際会議の開催件数にとどまらずMICE全般に係る指標を示す。

さらに、国民の観光旅行については、従来の1人当たりの宿泊数にかわって「1人当たりの国内宿泊旅行の回数」に目標値を設定するほか、その中から特に若年層の目標回数を抽出する。首都圏、中京圏、京阪神の三大都市圏から地方へ移る宿泊旅行消費額の目標、年次有給休暇の取得率も数値目標を掲げる項目に定める。

原案で注目されるのは、旅行者の満足度アップに数値目標を設定したこと。国内観光地の中から調査地点を選び満足度調査を実施。「大変満足」と回答する割合、再来訪意向について「大変そう思う」と回答する割合を増加させるとしている。

これらの項目について、観光庁では計画期間を5年間とし、2017年の達成度を目標に掲げることにしている。

現在、3月4日締め切りでパブリックコメントを募っている。観光立国推進基本計画の見直しに反映すべき事項、意見、要望を集約し、5月末の交通政策審議会観光分科会で了承を得て閣議決定、国会報告というスケジュールを予定している。

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