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無秩序な開発に反対 日本温泉協会が地熱利用で要望書

日本温泉協会(廣川允彦会長)は9月6日、環境省と国土交通省、経済産業省に「無秩序な温泉開発に反対」と題する要望書を提出した。電力供給源として地熱が注目されているなか、自然保護や温泉文化保護の観点から警鐘を鳴らし、開発に際しては地元の合意や客観的な第三者機関の創設などを求めている。

要望書は、今年6月の協会総会で承認した決議文。電力確保と温泉資源保護の2つの公益が共存することを前提に、(1)地元(行政や温泉事業者など)の合意(2)客観性が担保された相互の情報公開と第三者機関の創設(3)過剰採取防止の規制(4)継続的かつ広範囲にわたる環境モニタリングの徹底(5)被害を受けた温泉と温泉地の回復作業の明文化―の5つを提案として盛り込んだ。

6日、廣川会長と地熱対策特別委員会・佐藤好億委員長、寺田徹専務理事の3人が3省と資源エネルギー庁、観光庁を訪ねた。それぞれ国務大臣、担当課長らに宛てて要望書を手渡し、無秩序で拙速な開発を避けるよう要請した。

日本温泉協会によると、地熱発電はクリーンで再生可能なエネルギーとされているが問題点は少なくない。温泉成分の影響や高温のため生産設備の減衰が著しく数年おきに補充の掘削が必要であり、たび重なる掘削による地形の変化、温泉の枯渇などが危惧される。また、発電後の熱水は、硫化水素やヒ素などを含むため河川に排出できず、硫酸などを添加し地中に戻さなければならない。そのため土壌汚染や地下水汚染、水蒸気爆発といった危険性があり、安全性は実証されていないという。

すでに稼働している地熱発電所に近い温泉では、湧出量の減少や水位・泉温の低下などの影響を受けたところもある。

要望書では「わが国には1千年をはるかに超える温泉の歴史があり、世界に冠たる温泉文化を育んでいます」とし、観光立国を目指す日本の重要な観光資源の柱としても温泉の大切さを訴えている。

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