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旅の需要を創る じゃらんリサーチセンター(2)

JRCが奈良県庁と協働で2008年から本格的に取り組み始めた「過疎地と都市間を結ぶ『幸せのブリッジプロジェクト』」。過疎が進み相対的に元気を失った高齢者と都市部の疲れたビジネスマン、故郷のない子どもたちを結ぶという試みだ。

過疎地活性化、父子2人旅 幸せ、生きがい打ち出す

荒廃してしまった棚田や畑を舞台に(1)過疎地の人々と地域に元気を(2)都市部で頑張る大人に心のよりどころを(3)田舎のない子どもたちにふるさとを―というもの。08年8月には同県十津川町に、県内都市部の小学生5―6年生48人を招きモニターツアーを実施したほか、今年6月には東京都内のビジネスマン5人を呼んだ。

いずれも町内の農家に泊まり、野菜の収穫体験など農作業を手伝った。「過疎地が蘇える可能性が見えてきた」と、JRCは話している。

「赤ちゃん連れ家族旅行」の事例では、旅行する意欲と実際の行動にギャップがあることが調査で分かった。子どもの年齢が幼いほど、いわゆる閑散期に旅行をする傾向にあったという。

そのため、宿泊施設が(1)ベビーベッドの貸し出しや大人用ベッドのセッティング(2)ミルク用のお湯や持参した離乳食の温め、使用済みおむつを気兼ねなく捨てることができる(3)近隣病院リストの整備―など「赤ちゃん対応サービスの充実」を図るオリジナルプランをつくることで、乳幼児連れ家族旅行を創出できると判断。旅行時の不安を取り除きパパ・ママがリフレッシュして楽しめそうなプランを用意し「じゃらんnet」で600人以上を集客した。

また、親子2人旅市場創造プロジェクトでは「父子旅行プラン」を造成。雪国でのかまくら作りや父親が得意なこと、挑戦したくなる体験を盛り込み、子どもと一緒に楽しめる仕掛けをつくった。加えて、食事の準備など親子の絆を深める協働作業を組み込み「父子2人旅」という新しい旅行を市場に投げかけた。

今年1月に実施した新潟県湯沢での父子2人旅には、6組12人の募集に対し、241組もの応募があったという。

位置ゲー、アースダイバー

そのほか、都会のサラリーマンを中心に人気を集める携帯電話ゲーム「位置ゲー」と旅行をセットにしたツアーを今年9月に九州で実験的に行うほか、30―40歳の女性をターゲットに草津温泉でロハス旅行を楽しむプラン、宮古島で美容と健康のプログラムづくりなどを予定している。

さらに、人類学者・中沢新一さんの著書で、縄文時代の地図から現代の東京を紹介する「アースダイバー」にヒントを得て、時空を越えた革命的な観光を提案しようと意気込む「観光地アースダイビング」、次世代に向けて新しい観光協会のありようを示すプロジェクトにも踏み込み、旅行市場を活性化させようと計画している。

沢登センター長はセミナーで「社会不安が重なり、多くの人が今後に不安を抱えて生活している時だからこそ、観光・旅行は『幸せ・生きがい』を与える存在でありたい」と話していた。

JRCは05年8月の開設以降、観光に関する調査・研究・実験に取り組んでいる。

(トラベルニュースat 09年9月10日号)

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