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本物と出会う至福 黒谷和紙や丹波立杭焼

伝統文化に触れる これぞ地域の文化

丹波・若狭には脈々と受け継がれてきた伝統工芸がある。連綿と続く伝統の技術は地域の風土、歴史を現代に伝える地域の誇り。素朴で“本物”の品々は訪れた人の心を温めてくれる。

綾部市に伝わる黒谷和紙。約800年の歴史を有し、平家の落人が始めたといわれている。黒谷の地では「かご」と呼ばれる楮(こうぞ)を原料に作られ、江戸時代から明治期へと発展の歴史を重ねてきたが、産業の近代化などを理由として紙作りの手法の変化があり、黒谷和紙を生産者も数を減らしていった。

しかし、地元の人々に加え、近年ではものづくりに熱意を燃やす若者が各地から集まり、今でも伝統の手すき技術を守り続けている。楮をもみ、煮て、ごみを取り、たたき、綿状にしてから紙すきという一連の流れの大半を手作業で行うという丁寧さで、今も昔も変わらない美しく温かみのある純粋な和紙は今日も作られ続けているのだ。

同市黒谷町の黒谷の里「黒谷和紙会館」一帯では、時間が合えば作業風景を見ることができる。職人が挑む“真剣勝負”を見ると黒谷和紙が持つ独特の“重み”が伝わるだろう。小学生などが学習体験に訪れることも多いという。団体での紙すき体験は「黒谷和紙工芸の里」がおすすめ。

黒谷和紙

伝統の手漉き技術を若者が守る!
里山に残る黒谷和紙の作業を間近で

篠山市には日本六古窯の1つに数えられる全国ブランド「丹波焼(立杭焼)」が存在感を放つ。こちらの歴史も800年以上。素朴で飾り気のない作風は全国的に評価が高く、味わい深い作品を求めて多くのファンがこの地を訪れる。

丹波焼は同市今田町内の約3キロの圏内に57軒の窯元が密集し、焼物の郷を形成。今日も登り窯から煙が立ち上る。

「陶の郷」は、丹波焼の魅力を伝える振興拠点。57軒の窯元すべてが参画する「窯元横丁」では作品の展示や即売を実施しており、ここでお気に入りの窯元を見つけて、窯元を訪れる人もいるという。ここで丹波焼に“入門”してもらおうというわけだ。陶芸教室で絵付けや粘土細工を楽しむのもいいし、丹波焼特有の伝統技法・登り窯を見学してもいい。ここを拠点に丹波焼の郷散策に繰り出したい。

丹波焼

丹波焼の魅力は味わい深さ。
お眼鏡にかなう逸品をお土産に

若狭では小浜市で塗り箸や若狭塗といった匠の技に触れよう。若狭塗は400年の歴史を持ち、うるしを何重にも塗り重ねた漆器は優雅で独特の風格を備えた高級品だ。NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」で注目を集めた塗り箸は最近ではモダンなデザインのものもあり、人気の土産品。「箸のふるさと館」でその技術が体験できる。

若狭塗り箸

うるしを何重にも塗る若狭塗り箸。
体験して「ちりとてちん」の世界を

おおい町では「今谷(いまだん)焼」。こちらは近年若手陶芸家が始めた「現代工芸」。発端は6世紀に焼かれていたといわれる須恵器の窯元跡が発見されたことで、発見地「きのこの森」では陶芸体験が楽しめる。

産業観光・近代化遺産まで踏み込めば、かつての蚕都・綾部市へ。この地発祥の繊維メーカー・グンゼによる「グンゼ博物苑」がその歴史を伝えている。大正期建造の旧本社事務所を活用した記念館や、繭蔵を使った歴史や技術を紹介する施設など見どころは多い。

敦賀市では鉄道文化に触れる。「敦賀鉄道資料館」は、今年運行100周年を迎える、鉄道と船で東京、敦賀とフランスを結んだ「欧亜国際連絡列車」の発着駅だった金ヶ崎駅を再現した建物で、敦賀の鉄道の歴史にまつわる資料や模型などを展示。トンガリ屋根が当時の雰囲気を伝える貴重な施設だ。

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