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安来―奥出雲の「鉄の道」 女子旅・夫婦旅に(2)

国道432号 美術館やロケ地めぐりも

安来市から奥出雲町、広島県へと至る国道432号。沿道は古来、たたら製鉄が盛んだったことから「鉄の道」とも称されている。観光スポットが点在し、里山や田園の風景が続くこの道を安来市などでは新しい観光ルートとしてアピールしている。

本来の国道432号は松江市が起点だが、観光ルートとしてはJR安来駅がスタート地。駅前の市街地を抜けると田んぼが広がり、山陰の名峰・大山を望む。冬には、少しわき道に入れば白鳥が飛来している。白鳥の越冬地としては南限で、昼間は田んぼいっぱいの群れが間近で見られる。

鷺の湯温泉一帯は沿線随一の観光スポット。足立美術館は昨年、米国の日本庭園専門誌の日本庭園ランキングで11年連続ナンバー1に輝き、シニア向け雑誌でも国内で好きな美術館第1位に選ばれた。安来節演芸館は、どじょうすくい踊りの実演と体験が好評だ。

鷺の湯温泉から3キロあまり、月山富田城(別掲参照)と城下町・広瀬がある。広瀬には造り酒屋など古い町並みが残り、まち歩きも楽しい。

飯梨川沿いに432号をさらに南下すると加納美術館がある。人間国宝5人の備前焼、地元出身作家の作品を数多く展示。今年3月からは毎月1回、人間国宝の名碗にふれる茶会を実施する。入館料込みで料金は2500円。開催日の午前と午後2回行う。開催日については 電話0854―36―0880へ問い合わせを。

同館は、故・加納溥基氏が郷里の発展を願って建てたもので、溥基氏の父で画家の加納莞蕾(かんらい)の作品を展示することから始まった。現在も莞蕾の子孫が館内を案内し来館者を温かく迎えていることからファンは多い。

加納美術館

加納美術館内

奥出雲町は絲原家や櫻井家といった豪壮な古い屋敷が知られるが、近年は映画やテレビドラマのロケ地としても注目を集める。松本清張の小説「砂の器」は同町の亀嵩が舞台でロケも行われた。最近では、映画「私は貝になりたい」も撮影され、今春TBS系で放送されるドラマ「LEADERS―リーダーズ」も奥出雲で撮影されている。この2作は、昨年大ヒットした「半沢直樹」の福澤克雄監督がメガホンをとった。LEADERSはトヨタの創業時を描いた作品で、絲原家が豊田家の邸宅として登場する。

JR亀嵩駅

「砂の器」の舞台になった
JR亀嵩駅

福澤監督は、奥出雲町をロケ地に何度も選ぶ理由として「看板がなく廃屋もない、日本一美しい田舎」としており、実際にルート全体を通して日本の原風景といった姿が道沿いに広がる。このルートの大きな魅力だ。

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