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冬の美し国へ 三重・伊勢志摩

09/01/15

風光明媚で山海の幸に恵まれた伊勢の地に、天照大御神が鎮座されたことから「美し国(うましくに)」と呼ばれるようになった三重県。美し国の秋冬といえば、県南部の志摩地域を代表する味覚、伊勢えび、的矢かき、あのりふぐのシーズン。この3品は毎年、伊勢神宮に奉納され、近年では三重ブランドとしても認定されている。秋冬3大グルメ・ブランドを食べに、いざ三重へ。

三重ブランドを食べる プリプリの食感 伊勢えび

美し国・三重を代表するグルメブランドのトップバッターは「伊勢えび」。

名前からして"ご当地ブランド"なのだが、由来は諸説あってはっきりしない。その中で、江戸時代の儒学者・貝原益軒の「大和本章」でこう記す。

「この海老、伊勢より多く来るゆえ、伊勢エビと号す」

昔から、三重県南部では数多く獲れたのだろう。それは、県南の深い森を源流に山の養分を運んでくる川が幾筋も熊野灘に注ぎ込み、黒潮とあいまみえ、豊かなプランクトンを育むことが一因だ。そのプランクトンは貝やウニなど、伊勢えびの好物を育てる。恵まれたエサと熊野灘の荒波は、この地の伊勢えびをブランドに仕立てる。

そんな大きな自然のサイクルの中で育った伊勢えびは、プリプリに引き締まり口に入れたと同時に広がる独特な甘みと食感が堪能できるお造りをはじめ、直焼で豪快に味わう鬼殻焼、殻ごとぶつ切りにして甘辛く煮込んだ具足煮などなど、何にしても美味。

甘味濃厚 的矢かき

リアス式海岸の志摩半島の中でも、3本の川が注ぎ込む的矢湾は、特別に豊潤な入り江。

1919年、プランクトンの研究者だった佐藤忠勇さんは、驚くほどの早さで成長していくカキに目を見張った。その後、佐藤さんは垂下式カキ養殖法を開発し、従来2―3年かかっていたカキの養殖を1年で成長させることに成功した。短期間で育ったカキは、身が柔らかく、ふくよか。ツルンと口に入れた瞬間、磯の香りが広がり、カキの甘みが広がる。「的矢かき」の誕生だった。

それから90年。紫外線殺菌した海水で滅菌する技術も完成され、生でも安全で美味しいブランド品になったのだった。

歯応え堪能 あのりふぐ

志摩市安乗沖は、栄養豊かな伊勢湾で生まれ育ち、流れの速い黒潮で揉まれた天然のとらふぐの絶好の魚場。10月から2月末まで安乗のまちは、ふぐ一色に染まり、はえ縄漁船で活気にあふれている。

安乗で獲れたとらふぐは以前、下関など県外に出荷されるだけだったが、03年に地元で協議会が発足した。漁協、行政、旅館などで作る協議会が出荷先を地元に限ることで高い品質を保証する。それが「あのりふぐ」だ。身が引き締まりコリコリした歯応えは、美し国でしか味わえない。

三重ブランド...三重県内の農林水産業、商工業事業者が取り組む「本物づくり」の支援を目的に、2002年3月から始まった認定制度。「自然を生かす技術」をコアの概念に置き、認定基準に照らして、コンセプト、独自性・主体性、信頼性、市場性、将来性の5つの観点から食文化や観光、マーケティングなどの専門家で構成する認定委員会が厳しく審査する。08年11月現在、「真珠」「松阪牛」「伊勢えび」「的矢かき」「南紀みかん」「あわび」「伊勢茶」「ひじき」「ひのき」「あのりふぐ」「伊賀焼」の11品目、42事業者が認定されている。

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