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世界遺産の旅-明治日本の産業革命(1) 長崎・近代化つたえる8資産

15/09/09

7月5日、日本にまた一つ世界遺産が誕生した。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界文化遺産に登録され、構成資産を有する8県11市に観光面でも注目が集まる。今回紹介する3県では長崎が造船や炭鉱、静岡が反射炉、そして山口がものづくり国家への志を育んだ幕末の私塾などが遺産群に登録されている。各地をめぐり、幅広い視点から日本の近代化の歴史に迫りたい。

三菱重工業長崎造船所、軍艦島、そしてグラバー住宅

8県にまたがる「明治日本の産業革命遺産」を構成する23資産のうち、もっとも多い8資産を有する長崎市。日本の近代化を大きく支えた造船、炭鉱といった主要産業がその基盤を成す。古くは出島の存在もあったように日本と世界をつないだ地・長崎から日本の近代化の歴史に迫りたい。

小菅修船場跡は日本初の蒸気機関を用いた洋式ドックで、近代技術の導入を通じ日本の近代化に貢献した実業家トーマス・グラバーらにより1869年設立。曳揚げ小屋は「コンニャクレンガ」と呼ばれる平らなレンガを用い、日本最古のレンガ造り建築として知られるなど日本の近代造船としては最古の遺構が残る。

小菅修船場跡を管理する三菱重工業長崎造船所は今も現役。1905年竣工の大型ドックである第三船渠、日本初設置のジャイアント・カンチレバークレーン、迎賓館として活用される占勝閣は見学不可ながら現在も稼働中で、造船のまち・長崎を物語る風景を形成する。

長崎造船所のなかで見学可能なのは旧木型場。1898年竣工のレンガ造り2階建てで、同造船所に現存する建造物では最古の存在だ。今は同造船所の資料館。

炭鉱も日本の近代化を語る上で重要なポイント。高島炭坑は1868年、日本で初めて蒸気機関を用いて竪坑を開削、日本の近代炭鉱開発に先べんをつけた。この坑は北渓井坑と呼ばれ、国の史跡に指定されるなど近代的炭坑施設として高い価値が認められている。

端島炭坑は近年「軍艦島」として話題を集める遺構。良質の石炭が採掘された炭鉱の島で、大正時代には開発に即して鉄筋コンクリート造高層住宅が建設、今もその遺構が残り、往時の繁栄を伝えている。

軍艦島

「軍艦島」として知られる端島

そして、日本の近代化と長崎の関係に迫るにはグラバーの活躍に触れないわけにはいかない。長崎観光の人気スポットの1つ、旧グラバー住宅も構成資産。トーマス・グラバーの邸宅で、1863年建設の主家は日本最古の木造洋風建築として見どころが多い。現在は、旧リンガー住宅や旧オルト住宅などとあわせて「グラバー園」としての地位を確立しており、異国情緒の中、高台から長崎港を見下ろす見事な景観を眺めながら、往時へ思いを馳せたい。

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