JR東と慶應SFC、駅たびコンシェルジュ発の地域おこし講座を開講
JR東日本と慶應義塾大学SFC研究所(神奈川県藤沢市、湘南藤沢キャンパス)は2月25日から、地域共創の推進に向けた講座「STACON EAST 2023 春」をJR東日本が主な駅で運営する「駅たびコンシェルジュ」で開催している。SFC研究所と自治体による地方創生推進プログラムである「地域おこし研究員」経験者が講師となり、〝慶應義塾大学SFC研究所&地域おこし研究員から学ぶ地域共創の実践〟をテーマに計6回開催。地域課題の解決や持続可能な地域づくりにつなげる。4月23日まで。
慶應義塾大学 SFC 研究所と JR 東日本が地域共創のさらなる推進に向けて連携
両者は2月3日、地域共創の推進に向けての連携を発表。駅たびコンシェルジュを「SFC×JREコラボレーション&トライアル・ラボ」と位置付け、地域課題の解決に向けた検討や、地域おこし研究員による実践的な研究プロジェクトの発信や展開支援などを行っている。
新機軸を実現するテーマを設定して活動する「地域おこし研究員」
地域おこし研究員は、全国各地の地域とSFC(社会イノベータコース、社会イノベーション・ラボ)が連携して推進するプログラム。地域の現場での実践的な研究開発を行うSFCの大学院生や大学院進学希望者等を、SFCと連携する自治体・組織が「地域おこし研究員」として任用をし、SFCの担当教員からの助言や、自治体・組織との調整のもと、地域に新機軸を実現するテーマを設定して活動している。
第1回目は仙台で「関係人口創出の仕組み」をテーマに開催
2月25日に開かれた第1回目の講座は、駅たびコンシェルジュ仙台で「〝地域コミュニティの一員〟になる関係人口創出の仕組みづくり」をテーマに開催。学生や自治体、観光事業者などが参加した。参加者の年代は20代から60代まで幅広く、性別も男女問わず多くの人が訪れた
講座では、慶應大総合政策学部の玉村雅敏教授がSFC研究所や地域おこし研究員の説明するほか、地域おこし研究員経験者(吉田真彦氏〈岩手県花巻市秘書政策課主査〉、松浦生氏〈週末住人Inc.代表〉)が実績を発表した。
「通い神楽モデル」の構築で演者確保活動を支援
吉田氏は、岩手県花巻市で研究した「集落の民俗芸能における集落外の演者を確保する『通い神楽モデル』の構築」を題に発表。ユネスコ無形遺産である民俗芸能「大償神楽」を守り、地域を持続するため、集落外の演者を確保する手法として通い神楽の基礎構築や、演者確保活動を支援する手法の基礎となりうる通い神楽モデルや、政策の展開に向けた提案をしたことなどを話した。
若者が余暇で参加する「週末住人モデル」を構築
松浦氏は、鳥取県大山町で研究した「域外大学生による地域の一員としての活動を促す『週末住人モデル』の構築」を題に発表。担い手不足が深刻な地域で滞在拠点「週末住人の家」を起点に食事交流会「週末なべ部」を開催するなど、若者が余暇を使い支援する「週末住人モデル」を構築、実践したことを語った。
参加者からは、「通い神楽や週末住人モデルは自地域での関係人口創出にむけた大きなヒントとなる」「どのような人が地域おこし研究員となり、どのように研究を進めていたか、あるいは進めているか、詳しく知ることができた」といった声が上がるなど、質問が飛び交い、大きな関心が寄せられた。
終了後のアンケートでは、ワークショップについてほぼ全ての人が大変満足、満足と回答し、「ワークショップを通じて『地域共創』に関する理解が深まった」と答えた。ワークショップで取り扱ってほしいテーマについては、「駅と地域をつなげる 未来の駅の創造」「自治体における人口流入出と鉄道会社が一体となったまちづくりに関する取り組み」「交通インフラと地方創生の関係性について」といった意見が上がった。
玉村教授は、「駅たびコンシェルジュという場を通じ、地域おこしの取り組み、事例を多くの人に水平展開する意義は大きい」、JR東日本は「これらの取り組みを通じ、駅たびコンシェルジュという場を活用した、地域づくり人材の交流促進や、地域活性化、地域課題の解決に貢献していきたい」と話す。
今後のスケジュール&申し込み方法
同講座は今後、3月19(秋田)、20日(盛岡)、4月22(福島)、23日(新潟)に開講。参加費は無料。申し込みは、駅たびコンシェルジュホームページhttps://www.jreast.co.jp/travel/ekitabi_concierge/index.html「店舗一覧」→各店舗の「イベント情報」から。
全体テーマおよび講座2の講師・研究内容
■ともに学び合い、暮らし続ける地域社会をつくる
・3月19日(日)14~16時 駅たびコンシェルジュ秋田
・3月20日(月)14~16時 駅たびコンシェルジュ盛岡
講師:太田 良冠(鹿児島県長島町*)
研究内容:料理人による自発的協力型販促モデル“シェフツアー”の実践
講師:中川 優芽(岩手県釜石市*)
研究内容:命を守る下校時避難訓練の構築ー“釜石の出来事”の滞在型研究と静岡での実践研究
■人々の“つながりのチカラ”を活かす、交流と定住の実践モデル
・4月22日(土)14~16時 駅たびコンシェルジュ福島
・4月23日(日)14~16時 駅たびコンシェルジュ新潟
講師:高橋 秀行(岩手県花巻市)
研究内容:花巻の地域資源の活用と対話を取り入れたスポーツ合宿のまちづくり
講師:宮下 功大(鹿児島県大崎町)
研究内容:”リサイクル率日本一”14 回達成を実現する鹿児島県大崎町―住民・企業・行政による地域協働のまちづくりとグローバル展開
* 地域おこし研究員の地域名は活動当時のものです。 一部店舗でリモート配信予定
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