JR四国、観光列車を刷新 好調な旅客押し上げへ
JR四国(泉雅文社長)が鉄道の旅の魅力を演出する取り組みを強化している。観光列車を刷新するほか、島内の観光ルートを充実化する。在阪旅行会社向けに大阪市内で開いた商品説明会でアピールした。
観光列車については、予土線を走る「海洋堂ホビートレイン」を7月中旬にリニューアルする。秋には元祖トロッコ列車の「清流しまんと号」を一新。JR九州の列車デザインで知られるデザイナーの水戸岡鋭治氏が新しいトロッコ列車を提案する。予讃線のアンパンマンシートのある列車の車内デザインの変更も予定している。
「わざわざ乗りに来ていただける鉄道を目指しています」と、JR四国の半井真司専務取締役鉄道事業本部長。
好評の高松と高知、松山を結ぶ四国Vルートの旅では、新たに7月1日―12月1日の期間で「うどん県・時間旅行物語」と題したキャンペーンを展開する。こんぴら昭和劇場で、昭和レトロこんぴら参りを含む3つの劇場が開設し、「ことでん」レトロ電車の特別運行の増便などによりシニア層の集客を期待する。
徳島と室戸、高知を結ぶルートでは日和佐のウミガメや室戸のドルフィンセンターをアピール。松山と四万十、高知を結ぶルートでは4月にリニューアルした海洋堂ホビー館や大洲のまちに立ち寄る魅力を訴える。
また、駅弁選手権キャンペーンを展開し、タイアップした旅行商品には割引価格で駅弁を提供するほか飲料をプレゼントする企画を設ける。インバウンド向けに、昨年度から四国島内を対象にした「オールシコクレールパス」の発売枚数が1300枚に達しており、引き続き販売を強化していく。
説明会では、今年3月期の旅客収入が5年ぶりに増加したことが報告され、泉社長は「本州と対四国の鉄道利用者が3年連続で増加している」。JR西日本の室博営業本部次長も「(瀬戸内国際芸術祭やなつかしの修学旅行などの)キャンペーンもあり4月の対四国への誘客が順調。年間を通して対前年を上回ることを期待したい」とした。
さらに説明会では、愛媛県松山市の野志克彦市長が登壇。2014年は瀬戸内海国立公園、道後温泉本館、四国八十八カ所霊場開創がそれぞれ周年行事の年にあたり、官民一体となって「おもてなし日本一のまち宣言」をしたと紹介した。「株式会社松山市」と称し、旅行商品において使いやすさや低価格での提供ができることをアピール。
ビデオレターで登場した高知県の尾﨑正直知事は、延べ3万人が利用した「リョーマの休日」キャンペーンの2年度目への意気込みや公開2日間で入場10万人を突破した映画「県庁おもてなし課」、7月から高知・西南エリアで開催される「楽しまんと!はた博」などを紹介した。
四国の旅館ホテルでつくるしあわせランド推進委員会の新山輝洋委員長(愛媛県道後温泉・ホテル古湧園)は「四国へ訪れた人すべての人への満足向上を目指し、鉄道を使った商品への倍旧のご愛顧を願い上げます」と呼びかけ、四国ツーリズム創造機構の松田清宏会長は「おもてなしの心を学ぶ学科を地元大学に立ち上げ、後継者をしっかり育てていきたい」と抱負を語った。