壱岐に28年ぶりに日本酒が復活 東京で試飲発表会/長崎
28年ぶりに長崎県壱岐で復活した日本酒の試飲・発表会が昨年12月13日、東京・赤坂のレストランで開かれた。
壱岐の日本酒を復活させた重家酒造(壱岐市)。社長兼焼酎杜氏の横山雄三さんは「壱岐は麦焼酎発祥の地として400年を超える歴史があり、7蔵が麦焼酎を作っています。米を年貢として取られたため、島で栽培していた大麦を大陸から伝わった蒸留法で作ったのが壱岐焼酎の歴史だと聞いています。ただ、壱岐を含む九州北部は日本酒圏で、明治期までは島内に日本蔵が30蔵もあったほどです」と壱岐と酒造の関係を紹介した。
3世紀に書かれた中国の歴史書・魏志倭人伝に一支国として、邪馬台国とともに登場する壱岐。島なのに長崎県で2番目に広い平野があり、一角の「原の辻遺跡」には、弥生時代の環濠集落が栄えた跡が残る。壱岐へは博多港からジェットホイルで約1時間。
重家酒造は1990年まで日本酒造りを続けた酒蔵でもあり、その後は主力の麦焼酎の生産に集中する。そうしたなか、ともに会社を継いだ弟の太三さんは、5年前から島外で日本酒造りの経験を積み、杜氏となり、18年9月、壱岐に日本酒蔵を建て、28年ぶりに壱岐産の新酒を送り出した。
「父が日本酒づくりをやめたのは高2の時で、よく覚えています。蔵を継いでから、壱岐の日本酒が造りたいという気持ちが沸々とあり5年越しの思いが実現しました」
今回発表した日本酒は「純米吟醸よこやまシリーズ」5種類。初年度から数種類を造るのは珍しいそうだ。試飲では、太三さんが決めた順番で自ら参加者に酒をついでいく。
初年度の総生産量は一升瓶換算で10万本程度になるという。全国の提携店で100店で販売するほか、飲食店数百店に置かれる。
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