「世界中に名を馳せる観光地」へ 奈良県、観光総合戦略を策定
観光を地域支援産業と位置づけ
奈良県は7月に策定した「奈良県観光総合戦略」のオンライン説明会を8月31日に実施した。戦略で掲げる「世界中に名を馳せる観光地・奈良」の実現に向けて、施策の方針などを示した。
観光総合戦略は、2040年代後半に予定されるリニア中央新幹線の奈良開業という長期的な視点を持ちつつ、今年から25年度までの5年間の戦略を定めた。「ここにしかない魅力であふれる観光地」「いつ来ても快適な観光地」「選ばれる観光地」を3本柱に、観光資源の磨き上げ、地域および事業者の連携の必要性を戦略として説く。
説明会で戦略の内容について詳述した奈良県ならの観光力向上課の松浦功治課長は、観光を「地域支援産業と位置づけている」と強調。観光振興の土台づくりとして▽地域のプレイヤーの連携と対話▽地域の理念と目的の共有によって「地域の総合力を発揮する」体制の必要性を訴えた。
最終年度の25年度に、宿泊客1人あたりの観光消費額が19年比113%の2万8千円、観光入込客数が同113%の5100万人などとし、旅館ホテル客室数も同123%の1万2千室とする数値目標を掲げた。
このあと、せとうちDMOの設立などに関わったIntheoryの村木智裕さんが、県観光総合戦略を進める上で欠かせない地域マーケティングについて講演。村木さんは「デスティネーションマーケティングには『型』がある」と話し、旅行のトレンドを踏まえたターゲット設定、国内外のメディアや旅行会社とのパブリックリレーションの構築、認知の向上=来訪者増という成果にフォーカスする必要性を強調。「県全体で一つの観光地を経営してほしい」とエールを送った。
一般社団法人そらの郷の出尾宏二事務局次長は、地域住民と来訪者の協働によってつくる「共感ツーリズム」を徳島県西部で自ら実践している事例を交えて紹介。出尾さんは「関係人口を増やす取り組み」こそ、奈良県観光総合戦略で示す3本柱の実践につながることを強調した。
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