東京・日本橋スペースウイーク 宇宙ビジネスの最前線が面白い
展示会や講演会で宇宙ビジネスの最前線を体感できる「日本橋スペース・ウイーク2022」が12月12-16日、東京・日本橋の日本橋三井ホール、コレド室町1など三井不動産が展開する商業施設で開かれている。
オープニングセレモニーでJAXAの石井康夫理事は「日本橋はX-NIHONBASHIを中心に宇宙関係者が常に集えるエリアになっている。イベントが冬の風物詩になってほしい」と盛り上がりに期待した。
また、宇宙飛行士の山崎直子さんは「昨日、打ち上げに成功したispace(アイスペース)の月着陸船は日本橋から管制されています。日本橋が宇宙と地球をつなぐ場になることに期待しています」と興奮気味に話した。前日の12月11日、宇宙ベンチャーispace(東京都港区)が民間では世界で初めて月への着陸船の軌道投入に成功している。
三井不動産では日本橋を日本の宇宙領域の研究やビジネスの拠点の街にしようと、会議やワークスペースを提供する「X-NIHONBASHI」(クロス日本橋)を開設し、企業や研究機関の誘致に取り組んでいる。すでにJAXA(宇宙航空研究開発機構)の1部門や宇宙領域に挑戦する民間企業が集積している。
イベントは昨年に次いで2回目で、宇宙関連イベントとしては国内最大級。展示会には民間を中心に産官学から約30の企業・団体が2会場に分かれ出展しているほか、JAXAなどの講演会が行われている。
展示会はB2Bの商談会や情報交換を主な目的としているが、一般来場者もウェブサイトから録後に無料で観覧できる。宇宙開発関連というと敷居が高いと感じたが、正直に「なんの会社ですか」と尋ねながらブースを見て回った。
ispaceのブースでは月着陸船や月面探査車の模型を見た。予定では来年4月頃に月面に到着し、探査車などは月面が日陰になるまで約2週間働き、そこで力尽きてミッションを終えるそうだ。ピクサーのウォーリーを思い出し、ちょっと物悲しい気持ちになった。
JAXAは新型ロケットH3の約3メートルの黄色い模型を展示していた。実物は63メートルある。10月に起きたイプシロンロケットの打ち上げ失敗によるH3ロケットへの影響はなさそうで、年内にも初めての打ち上げを予定しているそうだ。
ロケットは胴体が長いが軌道に放出されるのは先端の短い部分だけで、ロケットの大部分は液体燃料のタンクなんだそう。
宇宙商社といった分野の会社ができていることやマイクロ波で地形を観測する独自の人工衛星を開発した会社、2040年には定時で旅客スペースライナーの運航を目的としている産官学の協議会など、多くは設立から4ー5年の若い企業・団体だった。宇宙ビジネス領域の最先端は知らないことばかりで、そして面白いものばかりだった。
日本橋三井タワー1階ではメタバースでISS(国際宇宙ステーション)の船外活動を体験した。ゴーグルをかけた瞬間に声が出るほどの迫力と没入感だった。こちらは12月18日まで予約制で体験できる。
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