ジオパークで観光地域づくり―10周年で隠岐島会議 隠岐ジオパーク推進機構が開く
隠岐ジオパーク推進機構は3月21日、島根県の隠岐ユネスコ世界ジオパークのユネスコ世界ジオパーク認定10周年を記念した「隠岐島会議inTokyo~日本の離島が目指す観光の未来~」を東京・京橋の東京コンベンションホールで開いた。隠岐観光の現状共有やパネルディスカッションなどを行いながら、日本の離島が目指す観光の未来や今後の隠岐の取り組み、ジオパークという資源を生かした観光地域づくりの可能性を議論した。
冒頭、隠岐の島町長で隠岐ジオパーク推進機構の池田高世偉理事長が「2023年は隠岐がジオパークに認定されて10年という節目の年だった。宿泊や飲食などの事業者が一体となって観光庁の高付加価値化事業に取り組むなど、隠岐全体としての観光地域づくりが進んでいる。一人でも多くの人に隠岐に関心を持ってもらいたい」とあいさつした。
世界ジオパークネットワークのギー・マルティーニ事務局長は「隠岐の海岸景観の素晴らしさ、特徴的な生態系、古代から続く歴史の奥深さは魅了されるものがある」とメッセージを寄せた。
隠岐島会議では、隠岐ジオパーク推進機構の野邉一寛事務局長が流刑の場所としての隠岐や、黒曜石を媒体に古代から知られていた隠岐、北方系・南方系・高山性・大陸系が共存する特異な生態系を持つなど隠岐の魅力を紹介したほか、観光庁が実施する「高付加価値化事業」に参画した隠岐諸島内の7事業者から6人による事業成果の発表などが行われた。
パネルディスカッションは「ジオパークを活用した観光地域づくりの可能性」をテーマに、國學院大學の井門隆夫教授やフィランソロピー・アドバイザーズの小柴優子代表、野邉事務局長が参加。「離島における観光を通じた日本の観光の可能性」「隠岐ユネスコ世界ジオパークをベースにした観光の可能性」を追求した。井門教授は、経営だけでない環境や地域社会・経済の保全も目的とした取り組みや観光の役割・定義を「遊興」から「人口還流」「環境保全」へと変えていく必要性を説いた。
「ユネスコ世界ジオパーク」は、国際的に重要な地域について、自然と人間との共生および持続可能な開発を実現することを目的に設立。隠岐は自然と環境と人の営みが世界的にも貴重とされ、13年に「世界ジオパーク」に認定され、23年には「隠岐世界ジオパーク」認定10周年を迎えている。
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