中国FIT市場動向 近畿運輸局がVJ説明会
国土交通省近畿運輸局はこのほど、2011年度VJ(ビジット・ジャパン)事業説明会とマーケット研究会を開いた。VJ地方連携事業の募集方法などのほか、JNTO上海事務所の鈴木克明所長らの講演が行われた。自治体や観光事業関係者ら120人が参加した。
ターゲットは「80後」
説明会では近畿運輸局が重点市場に掲げる韓国、中国、台湾、香港の動向を国際観光課の西谷務課長が説明した。
韓国は「ゴールド・ミスと呼ばれる30―40代の有職女性」をターゲットに「定着しつつある週休2日制で、地方の温泉がブーム」に。中国は「将来のFIT化への過渡期と見越した種まきを」とし、大阪―中国―九州の新しいゴールデンルートの必要性を強調した。台湾は「ただ温泉を売るのではなく、桜を見ながら入浴などの仕掛けが大事」。香港は「成熟市場として、どうリピートさせるか」などとポイントを絞り解説した。
また、西谷課長は関西の武器としてJRや私鉄の交通網による都市間の近接さを強調。「大阪と京都が30分という近さも知られていない。近接している特性を前面にプロモーションしてほしい」と呼びかけた。
中国市場については、鈴木所長が詳述した。その中で、今年7月から発給要件が緩和された個人観光ビザについては「7月単月で前年の8倍、8千件を発給しました」と報告。ただ「まだほとんど個人旅行は宣伝されていない」とし、個人観光旅行プロモーションについてアドバイスした。
それによると、主要マーケットは北京・上海・広州で「それ以外の地域はまだ考えなくていい」。主要ターゲットは「80後(バーリンホウ)」と呼ばれる1980年代生まれとし「文化大革命が完全に終わった改革開放の時代に、一人っ子政策で恵まれて育ってきた世代です。消費意欲が高く、反日感情とか歴史のこだわりもありません」などと紹介した。
個人旅行と言っても中国の場合、ビザ代理申請のため旅行会社を経由しなければ日本へ行くことはできない。旅行会社はランドオペレーターに招聘状の発行を依頼する。そのため鈴木さんは、中国人消費者への認知度アップのプロモーションとともに「ランドオペレーターに対する旅行情報の提供が不可欠」とした。