JNTO 震災後の訪日市場の見通しを分析
日本政府観光局(JNTO)は9月6日、東京のホテルでJNTOの賛助団体・会員を対象に震災後の訪日観光復興をテーマにした個別相談会と講演会を開いた。前日の5日には東京以外では初めて、大阪市内でも行った。
9時30~17時45分まで行われた個別相談に加え、東京会場では北京大学研究員でコラムニストの加藤嘉一さんが「震災後の日本に中国人観光客を迎えるには」をテーマに講演したほか、JNTO担当者が訪日旅行市場の現状と今後の見通しを話した。
加藤さんは1984年生まれの27歳。英フィナンシャル・タイムズ中国版のコラムニストであり、2008年に開設した自身のブログのアクセスがこれまでに5500万を超えるなど、中国で最も著名な日本人コラムニストと呼ばれる。
講演で加藤さんは、日中国交正常化40周年にあたる2012年に中国から3千人の若者を日本に招待し、これを日本から中国に向けた旅行者回復への期待のメッセージとするよう提案した。
また、「観光交流は相互交流であることが大事。中国人は大きな目標が好きですから、毎年1万人規模の相互交流に発展させては」などと話した。
中国人の日本への関心については、「健康食品、水、米、サプリメント、美容、スパ、介護と多岐にわたります。中国人は多様性を重んじ、旅行では多様性を求めます。日本旅館での手を振っての見送りにも感動します」と例をあげ、「日本で当たり前に行っていることが、中国人を迎えるときの財産です」と勇気づけた。
訪日旅行市場の現状と見通しは、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の重点15市場について担当者が解説。今後の見通しでは、原発事故の収束、もしくは国際的な機関が発する終息宣言まで本格的な回復は見込めないが、市場別に回復を後押しする材料もある。
最大の訪日国、韓国についてはLCCの日本就航ラッシュや9月25日の仙台定期便の再開、中国は10月の国慶節休暇向け日本ツアーの販売が試金石になるとしている。
台湾は震災後の訪日旅行者の回復が早く(8月は対前年比12・6%減)、訪日旅行者のクチコミに期待が寄せられている。