中国知識層が関西、九州を訪問 九観連らが招へい
九州観光旅館連絡会(九観連)と日中旅游ビジネス情報センターは、中国人知識層の訪中市場拡大を目的とした招へい事業を共同で行った。上海市の大学教授や新聞記者、著述家らに九州や関西の地方都市の観光地、旅館などを体験してもらい、中国からの誘客についてアドバイスしてもらうのがねらい。
招へい事業は11月23日―12月1日の8日間行われた。一行はまず関西入りし、奈良市内を皮切りに滋賀県の坂本、おごと温泉観光公園を見たあと、環境船「MEGUMI」を試乗。次いで九州に入り、福岡県田川市の「石炭歴史博物館」を見学し、阿蘇では内牧温泉、阿蘇山、草千里を見て回り、農業環境施設を視察した。山鹿温泉では八千代座と「米米惣門ツアー」を見学し、熊本大学を訪問。天草ではイルカウォッチング、天草松島温泉を視察した。その後、兵庫県神戸市に移り、孫文記念館、人と防災未来センターを見て回った。
11月30日に神戸市の三宮ターミナルホテルで行われた意見交換会で、上海師範学校元校長の楊徳広氏は「琵琶湖や阿蘇、天草の自然景観はきれいで感心した。教育の仕事をしている者としては日本の教育事情を視察できてよかった」。
著述家の邵列伝さんは「神戸の『人と防災未来センター』を見て、感動した。震災から早く復興されたことに興味を持った」。新聞記者の萬潤龍さんは「日本は東京、京都、大阪といった大都市の宣伝ばかりで地方都市のPRが少ない。訪日旅行は段階がある。最初は中日友好などの政治がらみ、次に大都会などの買い物ツアーとなって、次に修学旅行や魅力ある地方観光になる。富裕層は大都会に住んでいるので、ツアーには違った雰囲気の地方に出掛ける傾向がある」。記者の邵●さんは「今回は新幹線、フェリー、JRと様々な乗り物が体験できてよかった。九州の温泉も素晴らしい。もっと売るべきだ。旅館の料理もいいので、うまくPRすべきだ」と話した。
4人ともヘリコプターからの阿蘇火口の見学を絶賛し、天草のイルカウォッチングも自然に回遊している「天然もの」だということを訴える必要があると語った。さらに、奈良などの古い建造物を案内する際には中国とどのような関係があるかを教えてもらえると親近感がわくといった発言も聞かれた。
日中旅游ビジネス情報センターの岡本義温代表は「中国からの訪日旅行は、最初の印象が期待不足や感激不足であるのと、情報量が足らないために再度の訪問ということになっていない。地方にある自然、人情あふれる日本を中国の知識層に伝えていく必要がある」、九観連の松瀬裕二代表は「九州の旅館や温泉に興味を持っていただいていることがわかり、今後の取り組みに期待が持てる」と話していた。
(●=うかんむりに丁)