中国人訪日市場は「特色餐」やFIT JNTOフォーラム
日本政府観光局(JNTO)は9月2、3日の2日間、東京・お台場のホテル日航東京で第14回「JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」を開いた。観光事業者や地方自治体などのJNTO会員700人が参加し、世界の14都市にあるJNTO現地事務所の所長による、各エリアの最新の訪日マーケット動向についてデータや肌感覚も交えた解説に耳を傾けた。2日は東アジア地域、3日はオーストラリアと欧州、北米市場などの動向が紹介された。
今年1―7月の訪日旅行者数累計で、昨年トップの台湾や韓国を大幅に上回り、年間で最大の訪日国に躍り出ることが確実視されている中国。中国市場については、北京事務所長と上海事務所長が最新動向を報告した。
両所長は中国市場を示すキーワードとして「多様化」をあげた。訪日旅行商品の方面ではゴールデンルート一辺倒から北海道を加えた2強の時代に。また、テーマでは、食の人気が高まり、従来の桜、温泉、ショッピングの3トップから、食を加えた4トップの様相を示していることが紹介された。食については「特色餐」として、地域ならではの食に関心が高まっている。
中国からの訪日旅行者の半分を占める北京、上海、広東省の三大都市圏では、個人観光ビザの取得者が大幅に増えている。特に、上海では団体観光ビザと個人観光ビザの取得割合は1対1の状況で、今後はいかに個人旅行者(FIT)を取り込めるかといった新たな局面を迎えている。
個人旅行者への効果的なプロモーション手段として、フォーラムでは、中国で急成長する「微博」と「微信」(WeChat)の2つのSNSが紹介された。微博はツイッターに当たるもので、アクティブアカウント数は約2億。プロモーションにとっては、直接リンクすることができるなどのメリットがある。一方の微信はLINEに相当し、アクティブアカウントは5億5千万と多いが、直接リンクができないなど使い勝手は違う。2つのSNSを使い分けることで、効果的なプロモーションを行う必要がある。
今回のフォーラムでは一般来場者を入れての観光立国シンポジウムも開き、「新・観光立国論」の著者、デービッド・アトキンソン氏が講演したほか、セブンイレブンの免税店戦略などについての事例発表が行われた。一般参加者160人を含む750人がシンポジウムを聴いた。
また、8月31日にはインバウンド・フォーラム九州が熊本会場で行われ200人が参加した。