過去最高の3兆7476億円も"急ブレーキ" 16年の訪日客消費額
観光庁が1月17日に発表した2016年の訪日外国人旅行者の消費動向調査の年間値(速報)は、旅行消費の総額は前年比7.8%増の3兆7476億円で過去最高を更新した。一方で、1人あたりの旅行支出は同11.5%減の15万5896円と大きく減少。総額の最高更新は年間2400万人超となった旅行者数の増加が個人支出減をカバーして記録したもので、旅行者の嗜好の「モノからコトへ」への変化が如実に示された格好だ。
1人あたりの旅行支出の減少は、中国人客に代表される爆買いが収まり、団体から個人客へのシフトが進むなど旅行スタイルの変化がもたらしたもの。総額は15年が前年比71.5%増だったことを考えると急ブレーキがかかったが、本来的な消費額に近い値になったとも考えられる。
政府が掲げる20年の消費総額の目標は8兆円。1人あたりの旅行支出を20万円にする必要がある。同庁の田村明比古長官がトラベルニュースat本紙年頭所感で語ったように、これらをクリアするためには「今年が正念場」といえそうだ。
国別では1位が中国の1兆4754億円。全体の39.4%を占めたが、前年のシェア40%は割った。2位が台湾の5245億円、3位が韓国の3578億円。費目別では、買い物代が1兆4261億円でトップを維持するも金額は減少、全体シェアは38.1%へと低下。反面、宿泊費が1兆140億円で大台を突破するなど飲食費、交通費、娯楽サービス費が軒並みアップした。
国籍・地域別の1人あたり旅行支出を見ても爆買い沈静化は顕著。中国が全地域のなかで最大の下げ幅となる同18.4%減の23万2千円となり、オーストラリアが同6.7%増の24万7千円でトップに。東アジア各地域は軒並み数字を落としており、観光庁では欧米豪へのプロモーションを強化し、底上げを図る方針だ。