災害対応から学んだ18年-迅速かつ大量の情報発信 JNTOが事業説明会
日本政府観光局(JNTO)は1月25日、東京・四谷の同局会議室でメディア向け事業説明会を開いた。金子正志企画総室長が2018年の訪日旅行動向と19年の展望を示した上で、JNTOの取り組みを紹介した。
18年の訪日動向では、自然災害の訪日旅行への影響について解説を加えた。
自然災害が相次いだ18年の日本。なかでも大阪を襲った台風と北海道胆振東部地震では、主要ターミナルである関西国際空港と新千歳空港が一時閉鎖され、訪日旅行者動向に大きく影響した。
災害のあった9月以降について、まず当該地域への訪日客の入込状況を見ると、大阪府の外国人延べ宿泊者数は、9月は前年同月を下回ったが、10月には前月比増の水準に回復。北海道は9―10月と2カ月連続で前年同月を下回ったが、10月にはすでに上向き傾向になるなど、いずれも短期間の影響にとどまった。災害時に弱者となる訪日外国人の安全確保や現場での情報の提供が課題として浮き彫りになり、また、災害後、日本政府やJNTOによる世界に向けた正確で大量の情報発信、リカバリーのための迅速なプロモーションが効果をあげることも分かった。
自然災害による送り出しエリア別の影響は、東アジアと欧米豪で違いがあることが分かった。前年同期比の訪日客の伸び率は4―8月まで東アジアが欧米豪を上回っていたが、9月には逆転し、その後、東アジアからは一桁台の伸び率にとどまったのに対し、欧米豪は10%を超える伸び率を継続している。自然災害の旅行動向への影響は近距離で大きく、遠距離では小さかった。
欧米豪は、国別でも5―12月にイタリアやスペインが対前年同期比20%前後の伸びを記録するなど、堅調な伸びが続いている。
18年の訪日外客数は3119万人で、20年の目標の訪日客4千万人には19年、20年と13.2%ずつの伸びが必要な状況にあって、金子室長は「訪日のボリュームゾーンは東アジアですが、全方位を全力でやることが必要」と、自然災害を教訓とした認識を示していた。
19年の訪日プロモーションでは(1)明確な市場別プロモーションの実施(2)旅行スタイルの変化への対応(3)MICEの誘致(4)新たな市場開拓―などを重点項目としてあげた。このうち新たな市場開拓としては、訪日無関心層へのアプローチやパッションごとのプロモーション、スノーツーリズムのアピールに力を入れる。
パッションは、旅行の動機となるもので、例えばオーストラリア、英国、ドイツは40%以上が食事に関心があり、米国、フランスは食事とリラックスにそれぞれ20―25%の関心度が分散していることが、これまでの調査で分かっている。国ごとに異なるパッションの比率をプロモーションに反映させることで、より効果的な誘客策を講じる。
スノーツーリズムは、中国を含むアジアに向けた働きかけを強化する。東アジアでは、ウインタースポーツへの関心が高く、特に中国のスキー愛好家の55%が、海外スキーの希望目的地に日本を上げていることなども高い潜在力として期待できるとしている。
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