“ループバウンド”を万博レガシーに JiFインバウンドサミット
日本インバウンド連合会(JiF、中村好明理事長)は2月27日、大阪市都島区のQUINTOBRIDGEで「インバウンドサミットin大阪2025春」を開催。大阪・関西万博を前に「インバウンドからループバウンドへ~万博のレガシーをどう生みどう活かすか~」をテーマに講演や交流会が行われた。
はじめに近畿運輸局の藤原幸嗣観光部長が関西のインバウンド市場について説明。24年の旅行者数は19年の年間値1320万人を超える見込みで、外国人延べ宿泊者数も23年の約3304万人泊から24年11月までの累計で約4118万人泊と増加傾向にあると報告。一方で滋賀・兵庫・奈良・和歌山では全国シェアの1%未満にとどまり、宿泊地の偏在を課題とした。
また、万博に合わせて関西空港に観光PRブースを設置し、関西周遊を促進するバスツアーの実証実験や、万博協会が設置する観光ポータルサイトで各地の旅行商品が予約・決済まで可能なことも紹介した。
中村理事長は、インバウンドを単なる訪日観光に限定せず、ビジネスや留学のほかVFR(知人親戚訪問)に至るまで広義に捉え、外国人の訪日(インバウンド)と日本人の海外進出(アウトバウンド)が循環する「ループバウンド」概念の重要性を提唱。「インバウンドはゴールではなく、ループバウンドへのスタートライン」とし、海外進出による食産業や小売業、サービス業が大きなビジネス機会を生み出していると強調した。

ループバウンドをビジネス機会に、
と話す中村理事長
また、ヴィーガンやハラルなど世界の人口の3分の1が食のタブーを持っていることから、その対応が大阪・関西万博のレガシーになるとし「食のダイバーシティ対応の重要性」を指摘した。
JiFでは25年度から、千葉県大多喜町で廃校を活用した「JiFグローバルビレッジ」をスタートさせ、ループバウンドを振興するため海外でも活躍できる人材育成にも取り組み、関西や全国にも展開。中村理事長は26年のアジア競技大会(名古屋)、27年のグリーンEXPO(横浜)、IR開業(大阪)、34年のリニア開業などを挙げ、ループバウンド戦略が日本の持続的な発展に不可欠と訴えた。
(トラベルニュースまちづくり観光研究所シニア研究員・釼菱英明)
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