大震災による消費マインドは―自粛ムード解消へ JTM調査
JTBグループのシンクタンク、ツーリズム・マーケティング研究所(JTM)は7月19日、東日本大震災が消費・旅行に与える影響に関する調査結果を発表した。4月、5月に続き3回目の調査。今回の調査では人々の気持ちに明るさが戻り、今夏に国内旅行を計画または検討している人も前回調査から増え、5割を超えた。
今夏、5割超が旅行を計画
調査は7月1―5日に首都圏250人、中京圏100人、関西圏150人の20 歳以上69 歳までの男女を対象にインターネットで行った。
今の気分を色の濃淡で感覚的に表現してもらうと、「明るい・楽しい・積極的」寄りの選択をした人の割合は75%を超えた。初回調査では半数を下回っており、消費者のマインドが安定して明るい方向へ転換してきたと言える。ただ「震災が日常生活に及ぼした影響」については現在も約4分の1が「影響がある」と回答。前回調査から改善は見られなかった。
「災害状況が悪化するかもしれないので不安」と感じている人は、初回調査時の70.6%から減少したものの、依然半数を超えている。はやく元通りの日常生活・気持ちに戻りたい」と思う人は43.6%で、特に首都圏では半数に近い49.2%を占めている。
今夏の旅行の予定について、国内旅行は「計画済み」「検討中」の合計で52.6%。前回調査から14.6ポイント増加した。「旅行したくない・しないと思う(行かない)」は38.8%だった。
また、今夏の夏期休業について「夏休みが長くなった」「日数が増えた」人は11.4%。長くなった人、増えた人は海外旅行、国内旅行ともに計画・検討の比率が高い。
旅行の理由では「震災の影響からの避難」は3%未満で、「放射性物質の心配がないところに行きたい」「節電の影響がないところに行きたい」「地震の心配がないところに行きたい」も3%未満にとどまった。「ボランティアに行きたい」は1.0%だった。
一方、震災に関わる社会貢献意識については「節電・節水」が78.8%、「被災地のものを買って復興に貢献したい」が53.8%、「少々高くても、復興支援につながるものは積極的に買いたい」48.8%、「積極的に被災地を訪れて復興に貢献したい」24.88%の順に高かった。震災を契機に、被災地復興の役に立つかどうかが買物の際の選択基準のひとつとして定着しつつある一方、実際に被災地を訪れて支援しようという意欲はあまり大きくないことがうかがえる。地域による意識の差異は小さく、首都圏の意向がやや高い程度だった。
JTMでは「消費者の自粛が解消された今、娯楽・消費行動を震災に結びつけて捉えることはしなくなっている。旅行は純粋に自分の娯楽として楽しみ、被災地をはじめとする社会への貢献は購買行動や節電などを通じて、自身の生活圏で行いたいという消費者の意識が読み取れた」としている。