「一丁目一番地は地域の魅力向上」 観光庁が観光立国推進基本計画の説明会
観光庁は3月30日に観光立国推進基本計画が閣議決定されたことを受け、地方自治体や観光関係団体向けの説明会を各地で開いている。近畿運輸局管内では6月14日に同局で開催。参加した多くの自治体観光担当者らに基本計画の周知、理解を図った。
観光庁から総務課企画室の藤田礼子室長が基本計画の概要を説明。基本計画の特徴として、観光の「裾野の拡大」「質の向上」という基本的な方向性、訪日外国人旅行者数や観光地域の旅行者満足度など7つの数値目標、地域のブランド化や広域連携などによる魅力ある観光地域づくりなどの施策について重点的に解説した。
藤田室長は国内観光旅行の需要喚起について、「基本計画の一丁目一番地に観光地域のブランド化を掲げている」と強調。「地域の魅力向上がないとインバウンドにもつながらない。震災後改めて国内観光の重要性が再認識され、今まで以上に国内に重きを置いた計画になっている」と説明し、基本計画で政府が講ずべき施策に掲げた「魅力ある観光地域づくり」について時間を割き、理解を求めた。
そのなかで、現状の観光地域づくりについて「今は各地域が持つ潜在的能力を生かし切れていない」と分析。「(誘客について)大都市は人が多いが、皆がターゲットにしていては差別化できない。自分の地域の魅力を理解してくれるところを把握し、プロモーションすべき」と提言し、「オンリーワンの観光地づくりを」と呼びかけた。
国の取り組みとしては、観光圏や観光地域づくりプラットフォーム、ニューツーリズムの振興、戦略拠点・地方拠点を各地に設けた受入環境整備事業、大都市の滞在力強化、広域連携などを紹介。観光分野の人材育成は、今後は地方展開に重きを置くという方向性を示した。
また、国際観光の拡大・充実については「ゴールデンルートの次の目的地の開拓が重要」と強調。これには地域の魅力向上が欠かせないとして協力を促した。そのほか、旅行を1年で1回もしない人「旅行ゼロ層」や「休暇分散化」などへの取り組みも重要視すべきとの考えを示した。
説明会では、国の観光行政の最近の動きや、東日本大震災後の動向として訪日外客数の回復や東北観光博の開催などについても報告された。