井手観光庁長官が講演 海事・観光立国フォーラムin神戸
海事と観光の振興のあり方を考える「海事・観光立国フォーラムin神戸」が7月13日、神戸市内で開かれ、観光庁から井手憲文長官も登壇し、観光振興への意識の共有が図られた。
フォーラムは、日本海事センター(小幡政人会長)とJAPAN NOW観光情報協会(大島愼子理事長)の共催。12回目となる今回は国際観光・海事都市としての神戸の発展がテーマで、神戸をはじめ関西圏の海事・観光関係者ら約250人が参加した。
井手長官は国の観光立国政策について解説。3月に閣議決定された第2期・観光立国推進基本計画、インバウンド、訪日クルーズ旅行の取り組みについて紹介した。
基本計画については、まず計画の基本的な方向性の「裾野の拡大」と「質の向上」に言及。中国からのインバウンド旅行の質の低さを問う報道に対し、「質への意識も同時に高めるのは当然だが、まずは裾野を拡大しないと質の向上も図れない」との認識を示し、中国の旅行会社とも問題意識を共有し取り組みを進めていると報告した。
さらに、観光地域づくりについて「観光圏などは指定しただけで終わってしまう現状」と懸念を示し、地域のブランド化に向け「"たゆまぬ努力"を評価する仕組みを導入したい」と強調した。
MICE分野については「日本全体で見ると政府も含め力不足」と評価。「今まで努力が足りなかった。強力に推進したい」と力強く語った。
講演の主題であるインバウンドは、訪日外客数が震災から「完全に戻りきっていない」としたうえで観光庁の取り組みを紹介。今後、オールジャパンによる訪日プロモーションとして在外公館や官民連携を強化していく旨を語り、協力を呼びかけた。また、査証発給手続きも大きな課題として挙げ、迅速な手続き推進の重要性を説いた。
クルーズ旅行振興については、外国船の寄港数の大幅増が予定されている今年の取り組み強化を強調。VJ事業としてのプロモーション強化のほか、クルーズ船寄港時の入国審査手続きの時間短縮を「大きな勝負どころ」と位置付け、6月からの審査簡素化の試行への期待を示した。