国内観光地づくりに15億7千万円 12年度第一次補正予算案
1月15日に閣議決定した2012年度第1次補正予算案で、観光関係には27億8千万円がつけられた。このうち、国内の観光地づくりを国が後押しする「官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業」に15億7千万円を充てた。地域の特色ある資源を地域内外の専門家が協働して磨き上げモニターツアーを試行した上で、訴求力のある商品化、情報発信を行うことを目指す。支援地域は観光庁が選定し、1500万円を上限に魅力ある観光地づくりの推進を支援する。
事業は、有識者による第三者委員会が設定するコンセプトに沿って、商品化を目指す地域の提案を募る。応募主体は地方公共団体、地方公共団体を構成員に含む協議会、観光協会、主たる事業所を地域に有しその地域で観光振興に取り組んでいる団体などになる。第三者員会によるコンセプトは1月中に発表され、観光庁によると例えばエコツーリズムや文化観光、滞在観光などニューツーリズムの分類に準じたものが想定されているという。応募は、観光庁ホームページに告知し、2月いっぱい各運輸局で受け付ける。
運輸局での事前審査を得て、第三者委員会で3月中旬までに新規性や将来性などの観点から選定地域を絞り込む。その後、各運輸局単位で選ばれる旅行会社のバイヤー、旅行メディア、地域活性プランナーら「目利き」を地域に派遣、地域の担い手とともに商品化に向けたワークショップ、市場調査などを行う。その結果からモニターツアーを造成、催行する。モニターツアーの効果検証を踏まえ、市場に対して高い訴求力を持つ資源に仕立て上げ、国が主催する商談会の開催や情報発信によって地域の商品化を確実なものにしていく。12年度の補正予算だが、13年末までの事業スケジュールを想定している。
支援の対象は、目利きの派遣や市場調査、ワークショップの実施などに関する費用のほか、モニターツアーの募集や集客イベントの実施に対して行う。モニターツアーの参加者にかかる実費は支援しない。全国紙やテレビコマーシャルなど過大な支出を伴う情報発信も対象外になる。
また、第1次補正予算案では、復興庁計上予算として「東北地方における旅行需要創出事業」に2億1千万円がついた。東北地方の太平洋沿岸と福島県への旅行需要を喚起するため情報発信を行うほか、需要喚起に資する取り組みに対して支援などを行う。
「訪日個人・ビジネス関係旅行者等誘致の強化事業」は10億円。中国、台湾、香港、米国、韓国の5大市場を対象にウェブ広告などを7億円かけて展開しFITの誘致を促す。成長が著しい東南アジア市場に対しては1億円の予算でメディアや旅行会社の招請などを行う。MICEをはじめビジネス観光を拡大し、周辺環境の影響を受けやすいレジャー観光に偏重した構造の転換を図る。2億円を充てる。