地域と産業界が連携 観光立国推進協議会が発足
産業界と地方自治体を主なメンバーとする観光立国推進協議会の初めての全体会議が1月27日、東京・芝公園の東京プリンスホテルで開催された。
協議会は日本観光振興協会(日観協)の旗振りで発足したもので、メンバーには観光関係団体や観光関連企業の代表者、小売業やクレジットカード会社など観光周辺企業のトップ、地方自治体の首長や広域観光連携協議会などが参加。観光立国に向けた意見交換や政策提言を行っていくほか、タウンミーティングなどを通じ国民運動としての観光推進に取り組んでいく。
全体会議で山口範雄・日観協会長(味の素会長)は訪日外客が目標の1000万人を達成したことについて、政府が果たした役割に感謝を示した。
「ビザ緩和の実行など政府の尽力に敬意を表したい」。
そのうえで今年を訪日外客2000万人に向けたスタートの年と位置づけ、「観光立国推進には地域と産業界の連携が不可欠」と話し、協議会設立の理由を説明した。
協議会を主催する日観協は、11年に地方自治体や地域の観光協会を主なメンバーとする日本観光協会と、観光関連企業が加盟するツーリズム産業団体連合会が統合してできた組織。協議会発足で求心力を発揮した。
全体会議は進行役が発言者を指名する形で進められた。
松山良一・日本政府観光局長は「昨年は東京オリンピック・パラリンピック招致の実現、富士山の世界文化遺産登録、和食のユネスコ無形文化遺産登録に力づけられた。日本観光への追い風を生かし、新たな高みである2000万人を目指したい」と話し、日本観光の質の向上や、インド、ロシアなど潜在需要が見込める市場へのプロモーションに意欲を示した。
全体会議で共通の課題と期待として示されたのが、Wifiや多言語表示の整備促進と、さらなるビザ緩和への期待。
三田敏雄・中部広域観光推進協議会会長は「Wifiや多言語案内が遅れています。オリンピックを契機に地方の環境整備が必要」と指摘。和田哲哉・三菱UFJニコス社長も、「クレジットカード業界として、利用環境を整えるのが急務。多言語表示の充実や利用施設の拡大を図っていきたい。カードを使いタックスリファンドが簡単に行える仕組みも構築したい」などと話した。
政府が昨年、東南アジア諸国を対象に実行したビザ緩和に対する称賛の声は多かった。安藤圭一・新関西国際空港社長は、「1000万人達成は円高修正とビザ緩和が契機となりました」と歓迎し、ビザ緩和の一層の拡大を期待した。また、空港の課題について、「関西ではLCCの存在感が高まり、アジア大航海時代が始まっています。出入国審査のスピードアップや、ファストレーンの設置、自動化ゲートの普及は必須です」と訴えた。
協議会は日本財団の支援を得た運営される。当面、3カ年事業として、年1回の全体会議やシンポジウム、タウンミーティングなどを行う。