記憶遺産登録へ各地で活動活発化 南九州市は「知覧からの手紙」
14/02/26
後世に伝え残すべき歴史の記憶を認定する「世界記憶遺産」。2015年の登録を目指し、3月末の申請期限が迫った今、各地で申請の動きが活発化している。
世界記憶遺産はユネスコ(国連教育科学文化機関)の遺産事業で、申請は2年に一度の受付。日本からは福岡県田川市の山本作兵衛の炭鉱絵画コレクションなど3件が登録されている。
鹿児島県南九州市は2月4日、知覧特攻平和会館に所蔵する第2次世界大戦末期の特攻遺書など333点を「知覧からの手紙」として登録申請した。特攻隊員の遺書は特攻隊員が出撃した地である知覧に残る「生きた証」であり、平和学習の関連資料としても評価が高い。悲しい記憶を風化させず、知覧から平和を世界に発信しようと取り組みを進めていた。
そのほか、京都府舞鶴市は「岸壁の母」で知られる第2次世界大戦後の「シベリア抑留と日本人引き揚げ関連資料」、奈良県御所市の水平社博物館は日本初の人権宣言といわれる大正時代の「水平社宣言」の申請手続きを進めている。いずれも平和や人間の尊厳に関わる重大な歴史の記憶ばかりだ。
しかし、各地にとっての高いハードルとなっているのが「申請は1つの国で2件まで」ということ。文部科学省はすでに京都市・東寺の国宝「東寺百合文書」の申請を決めており、残すはあと1枠。申請を目指す各地では水面下でロビー活動が繰り広げられているが、予断を許さない状況が続く。