今年の日本人は旅に出る トリップバロメーター調査
トリップアドバイザーがこのほど発表した、世界の宿泊事業者や旅行者を対象にした世界最大級の旅行動向調査「トリップバロメーター2014」の結果によると、今年度、日本人は支出額は前年並みだが旅行頻度を増やす割合が高く、概ね堅調に推移しそうだ。
同調査は年2回発表。旅行者の消費動向や旅行計画の違いなど国ごとの特徴的な動向を分析している。今回は2―3月に調査。世界7エリア・32カ国と地域、旅行者約5万人、宿泊事業者約1万人から回答を得た。
日本人の年間平均旅行支出予定額は、日本円で前年比1%増の64万9千円。世界平均の62万6千円をわずかに上回るが、世界平均の同3%増に比べて伸び率は低い。
旅行頻度を増やす旅行者の割合は日本では国内旅行を計画している人は前年の92%から95%へ、海外旅行は68%から78%へと増えている。世界でも大半の国が増加した。 今後1―2年間で訪問したい地域は、世界では1位ヨーロッパ、2位アジア、3位北米。日本人は1位イタリア、2位アメリカ、3位スペイン。日本はマレーシア人、タイ人、インドネシア人から「訪問したい国」として挙げられている。
日本人の旅の嗜好を示すものとして特徴的なのが「どのような旅行を好むか」。世界では「ビーチ」が36%で1位だが、日本は「食」が53%でトップ。世界の中で「食」を上げた割合が最も高く、世界平均が20%ということを考えると旅の楽しみの中で食が占める割合は相当高いようだ。
旅行の計画は、旅行者が宿泊予約時に重要視する要素のトップはやはり「客室料金」で世界95%、日本94%。「ネット上の口コミと宿泊経験者の意見」が世界89%、日本86%で続く。
反対に、世界の宿泊事業者は「ネット上の口コミ」56%が「客室料金」50%よりも旅行者の意思決定に影響が大きいと回答し、日本の宿泊事業者も「ネット上の口コミ」と「客室料金」が55%と同等。「ネット上の口コミの重要性を認識」が世界94%、日本89%だったことからも口コミへの意識の高まりは明らかだ。
しかし、口コミの重要性を認識している宿泊事業者のうち世界では48%がネット上から口コミを収集、38%が宿泊客へメールを送り口コミ投稿を促進しているのに対し、日本では口コミサイトで口コミ収集が36%、メールでの口コミ投稿の促進は14%にとどまるなど、対応が遅れているといわざるを得ない。
調査した「TripAdvisor for Business」のマーク・シャロン社長は「予算は増加しているが、宿泊先がそれ以上の価値があること。特別なオファーや無料のアメニティ、優れたサービスは潜在顧客を開拓する重要な要素になる」と指摘している。