訪日客2千万人の必要策 交通政策審観光分科会、国交相に具体的提言
国土交通省交通政策審議会観光分科会は7月8日、政府の目標である2020年に訪日外国人旅行者2000万人を達成するための観光施策をまとめ国土交通大臣に提言した。
提言ではまず、インバウンド拡大の意義について「急速な成長を遂げるアジアをはじめとする世界の国際観光需要を取り込んで、日本の力強い経済を取り戻す」ことや、「人口減少や少子高齢化が進展するなかで、地域に観光客を呼び込み交流人口の拡大によって、経済活動や投資を喚起することにより、地域の活力を維持し、社会を発展させる」などと、経済効果の側面を強調する。
そのうえで国、地域、民間事業者などオールジャパンで施策を総動員することが必要になるとし、(1)訪日プロモーションの拡大・強化(2)ビザ発給要件のさらなる戦略的緩和(3)国際航空ネットワークの拡充と運賃低減の促進(4)交通機関の宿泊施設の供給能力の向上(5)外国人旅行者の受け入れ観光の整備(6)世界に通用する魅力ある観光地域づくり―に並行して取り組むことで、ようやく2000万人を達成できるとしている。
このうち施策の最初に記した訪日プロモーションについては、(1)伸びる市場の積極的な取り込みと、送客元の多様化(2)富裕層へのアプローチ(3)リピーターの拡大(4)インバウンドに取り組む産業の多様化―などをあげた。
なかでもインバウンドビジネスの裾野の拡大として、観光業のみならずエンターテインメント、ファッション、デザイン、アニメ、食、農業、文化、IT産業に担い手を広げる必要性や連携を促すプラットフォームの構築を課題にあげた。
プロモーションの推進役となる日本政府観光局についても、他国の政府観光局との誘致競争に打ち勝っていくために、体制の拡充を求めた。
また、外客受け入れのインフラ整備としては、質と量の拡充についての施策を示した。量については国際航空ネットワークの拡充や運賃低廉化、クルーズ船の誘致。質についてはCIQ(税関、出入国管理、検疫)体制の拡充による出入国手続きの迅速化やファーストレーンの設置などが重要だとした。
2次交通については、鉄道、バス、タクシーの一層の訪日客対応、宿泊施設に関しても既存の宿泊施設を有効活用するだけではなく、宿泊施設以外の活用も検討するべきとしている。