旅行会社3社の聴聞会 東京都と観光庁、軽井沢バス事故受け
今年1月、長野県軽井沢町で15人が死亡したスキーツアーバスの転落事故で、東京都は3月18日、ツアーを主催したキースツアー(東京都渋谷区)に対して、都が事前に示していた旅行業登録取り消し処分案についての聴聞会を開いた。同社は欠席したが、聴聞会に提出した陳述書で、バス会社の安全対策を十分に把握していなかったなどの事実を認め、処分を受け入れる考えを明らかにした。都は今後、処分を正式に決定する。
また、都ではツアーバスに自社が募集したツアー客を同乗させたフジメイトトラベル(杉並区)についても聴聞会を開いた。同社について都では、貸切バス会社からの運行引受書を保管していなかったことなどが旅行業法に違反するとして、すでに54日間の業務停止処分案を示している。同社は欠席したが、指摘を認めるとした陳述書を提出している。
一方、観光庁は3月18日、事故を起こしたバスに自社が募集したツアー客2人を同乗させたトップトラベルサービス(東京都渋谷区)に対し、3月20日から54日間の業務停止処分を行った。処分について観光庁では(1)募集型企画旅行において運行バス事業者を把握していなかった(2)行程変更時などの連絡体制を確認していなかったこと―などが旅行業法に違反するとした。
処分前の同日午前には観光庁でトップトラベルサービスへの聴聞会が実施された。同社は聴聞会を欠席したが、同社から提出された陳述書が読み上げられ、このなかで同社は(1)バス事業者を把握していなかったのは事実だが、スキーツアーを主催したキースツアー(渋谷区)を通じて間接的に貸切バス事業者を把握していた(2)キースツアーおよび貸切バス事業者のイーエスピー(東京都羽村市)はそれぞれ東京都と国交省の登録事業者であり適正な業務を信じていた(3)連絡体制は24時間整えていた―などと一部の違反事項については否定した。
加えて「予見困難な事故に、事業者一律の責任を求めるのは過酷。違反内容と事故との因果関係が認められなければ、処分を過重に行うべきではなく、寛大な措置をお願いする」などと訴えていた。