「民泊」へ独自対応―台東区や軽井沢町 国に"現場"の姿勢示す
対価を得て住宅やマンションなどに旅行者を宿泊させる「民泊」に対する規制や緩和のあり方、ルールづくりなどをめぐって、政府や自民党、首相官邸がそれぞれに設置した検討会で独自の議論が進められるなか、東京都台東区議会は3月29日、(1)営業時間中は営業施設に従業員を常駐させること(2)宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他これに類する設備を有すること―を民泊営業者に課す、台東区旅館業法施行条例の改正案を、全会一致で可決した。4月1日から施行された。
また、長野県軽井沢町では、町内に民泊施設は認めないことを決め、3月29日から、町のホームページでも周知を開始した。決定の理由については、「不特定多数による利用や風紀を乱すおそれがあることから、民泊施設の設置については、町内全域で認めないこととし、基準を設けました」としている。併せてカプセルホテルなどの施設設置についても、町内全域で認めないとした。
民泊をめぐっては、厚労省と国交省による「民泊サービスのあり方検討会」をはじめ、国家戦略特区や規制改革会議、自民党の観光立国調査会観光基盤強化に関する小委員会など、複数の検討会で独自に議論が進められている。このうち民泊のあり方検討会の意見集約を基に、政府は4月1日、旅館業法施行令の一部を改正し、簡易宿所登録の設備基準について、客室面積を33平方メートル以上としていたものを、宿泊者数が10人未満の場合は、3.3平方メートルに宿泊者数を乗じた面積に変更。また、フロントや帳場の設置を義務から「設けることが望ましい」と緩和し、これらにより、簡易宿所営業の登録を受ければマンションの1室など狭い面積の施設でも民泊が可能になった。
台東区や軽井沢町の動きは、国を中心に進められている民泊についての議論に、地域や現場としての姿勢を示したものとして注目される。
台東区議会は条例改正案の提案理由のなかで「すでに行われている民泊の多くは、旅館業法の許可を得ず、ごみ出しや騒音などに関して、近隣の住民の方々とのトラブルにもなっております。今回の国の規制緩和は、このような事態を拡大させる恐れもあり、近隣住民の良好な生活環境の確保と宿泊者の安全性の確保が必要であります。台東区に来ていただいた際には、安全で安心なおもてなしのある宿泊施設にお泊まりいただきたいという思いは、台東区議会議員の一致した願いであります」としている。