「出国税」は1千円に 観光庁「観光財源の在り方検討委」が提言
観光立国へ向けた様々な施策実現のため、出国税など新たな観光財源について検討している観光庁の「次世代の観光立国実現に向けた観光財源の在り方検討委員会」(座長・山内弘隆一橋大学大学院商学研究科教授)は11月9日、中間報告をまとめ、(1)税方式により出国旅客に負担を求める(2)負担額は定額とし、1人1回の出国につき1千円を超えない範囲とする(3)可能な限り速やかな導入を検討すること―などとする提言をまとめた。
新たな税負担に理解を求めるため、観光財源の使途については、先進性が高く費用対効果の高い取り組み、地方創生など重要な政策課題に合致することなどをあげ、施策の見える化による効果検証の実施を行うこととした。
こうした議論も踏まえ自民党の観光立国調査会は16日、新税の名称を出国税ではなく「観光促進税」とした上で、速やかな創設を求めていくことを決議。これを受け自民党の税制調査会の2018年度税制改正のなかで議論していくことになった。
検討委の中間報告では、観光振興を日本の経済成長のエンジン役である観光について「基幹産業へと成長させ、地域に雇用と活力と誇りを生み出していくための高次元の観光施策を実施することが急務」とし、観光先進国への歩みを加速させる必要があるとした。その上で「観光立国を推進していくための施策を実現するため、今後、観光庁をはじめとする関係省庁において、観光財源の確保に向けた検討を進めるよう」提言している。
このなかで観光財源を確保する方法としては税方式をあげ「日本人を含む出国旅客に負担を求め、負担額としては1人1回1千円を超えない範囲で、必要となる財政需要の規模を勘案し検討すること。徴収の方法としては、航空は運賃との一括収受方式による航空運送事業者による徴収納付、船舶については、港湾における事業者の負担軽減のための簡素な制度設計の必要性を指摘した。
一方、財源の使途については▽負担者の納得感に配慮▽先進性が高く費用対効果が高い取り組み▽地方創生など日本が直面する重要課題に合致すること―を基本とするよう提言。具体的には「ストレスフリーで旅行できる環境の整備」「日本の多様な魅力に関する情報の入手の容易化」「地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験・滞在の満足度の向上」―を示した。