新型コロナウイルス、国内風評被害を警戒 観光庁や厚労省に相談窓口
新型コロナウイルスの感染拡大が観光に深刻な影響を与えている。中国に端を発し、当初は春節と重なった中国人訪日客の減少が取り沙汰されていたが、日本人の旅行自粛ムードも広がっている。弊社本社のある大阪市内でもインバウンドの聖地と言われているミナミは人通りが減り、薬局はどこもマスクが売り切れ状態だ。
1月下旬に大阪市内で開かれた日本旅館協会関西支部連合会では、片岡哲司会長をはじめ旅館関係者が異口同音に危機感をあらわにした。特に関西は2003年のSARSで苦い思い出がある。「日本人のキャンセルが増え自粛ムードがまん延すると、中国人が来ないというレベルではなくなる」「予約客から『中国人は泊まっているか』と問い合わせがくる。宿泊フロアを換えてほしい、風呂は中国人と分けてほしいなど差別的な要望が増えている」などの声が挙がり、国に対して支援を求めていくとした。
東京都ホテル旅館組合の新年懇親会では、東京都の小池百合子知事が「水際対策に万全を期し、なんとか封じ込めたい。宿泊の現場で疑いがある場合は、保健所に一報をお願いします」などと要請した。
厚生労働省では宿泊施設への注意喚起と、宿泊者名簿の正確な記載や医療機関との連携など、宿泊客の受け入れにあたっての協力を要請した。
また、観光庁では、感染症などを起因とした外国人観光客の減少などで経営環境の変化に直面している宿泊事業者向けの特別相談窓口を設置。1月末から各地方運輸局に開設している。
日本政府観光局(JNTO)は、24時間多言語対応のコールセンターを活用し、新型コロナウイルスに関連し、外国人旅行者の健康確保や二次感染を防ぐよう呼びかけている。
熊本市で開催する国内観光活性化フォーラムに続き2月13日に開催を予定していた「全旅インバウンド商談会」は、新型コロナウイルスの影響で中止が決まった。