市民と観光客の共感を創出 近畿観光アドバイザリー会議、大阪府枚方市に観光まちづくり提案
国土交通省近畿運輸局が設置している近畿観光まちづくりアドバイザリー会議(吉兼秀夫座長=京都外国語大学特任教授)が2021年度の重点支援地域に選んでいた大阪府枚方市に観光まちづくりへの提案書を交付した。3月16日、吉兼座長と近畿運輸局観光部の角谷敬二郎部長が枚方市役所を訪れ、伏見隆・枚方市長に手渡した。
アドバイザリー会議は旅行会社や観光シンクタンク、鉄道会社、観光関連団体などに所属する14人の委員で構成。06年度から、近畿2府4県で支援を希望する自治体を選定し、観光商品化やマーケティングの視点から観光まちづくり推進の方策を提言している。
21年度重点支援地域に選ばれていた枚方市は大阪―京都の中間点にあり、ベッドタウンとして人口40万人を抱える中核市。朝鮮半島と関わりのある国史跡・百済寺跡や東海道(京街道)“56番目”の宿場町などがあり、古くから栄えてきた。近年ではひらかたパークや菊人形、バレーボールVリーグのパナソニックパンサーズでも知られている。ただ市域全体として観光まちづくりは途上で、2025年の大阪・関西万博を見据えて観光交流による地域活性化が課題となっていた。
アドバイザリー会議では昨秋、市内を視察。現地関係者と意見交換や複数回の会議を重ねて枚方市の観光まちづくりの方策を検討していた。
提案書では、京阪間有数のベッドタウンである“暮らしやすさ”を観光客が“訪れたくなる”ようにする「共感空間」の創出を観光まちづくりの目的に掲げ、キーワードとして「くらわんか(食べなさいの意)ツーリズム」を推進するよう呼びかけた。具体的には、舟運事業が行われている淀川、駅前再開発が進む枚方市駅など一帯を観光まちづくり推進エリアとし、住民主導による商品づくりや受け入れ環境を「くらわんかツーリズム楽校」で関係者を増やしながら共感空間を創出していくよう促した。
交付式で伏見市長は「これから活動をしていくにあたって、教科書としてまちづくりに取り組んでいきたい」と提案書を手に話していた。