菰田新会長が就任 日観振総会、経団連・観光委の経験も
日本観光振興協会(東京都港区虎ノ門)は6月6日、東京・芝公園の東京プリンスホテルで2024年度総会を開き、任期満了に伴う役員改選で3期6年務めた山西健一郎会長(三菱電機元会長)が退任し、新会長に菰田正信・三井不動産代表取締役会長(経団連副会長)が就任した。
退任にあたり山西会長は「会長に就任した2018年は東京オリンピック前で、日本の観光を伸ばそうという機運が高まっていた時期でした。その後はコロナで厳しい時期が3年続きましたが、皆さまの尽力で乗り越えることができ、今、インバウンドが急拡大しています。人手不足や能登半島地震からの復興など課題はありますが、日本の最大の成長産業の1つが観光だと確信しています」と話し、観光産業にエールを送った。
また、菰田新会長は「観光は基幹産業となりうる重要な総合産業です。しかも国にとって、数少ない成長産業だと思っています。その国内観光の中心的存在である当協会の会長ということで、身の引き締まる思いです」と就任にあたっての思いを話した。
その上で、観光領域からの会長として「昨年3月まで社長をしていました。国内に1万3千室のホテルがあり、会社はコロナで500億円の損失を出しました。ですから皆さんが経験した苦労も分かるつもりです。11年からは経団連の観光委員長として勉強し、これまでに政府に対し経団連として提言もしてきました。日本観光振興協会会長として、こうした経験を生かしたい。国内観光はコロナから回復し、特にインバウンドは活況を呈しています。半面、慢性的な人手不足、観光需要の地域的、季節的な偏在、オーバーツーリズムなどの課題があります。こうした課題に正面から向き合い、観光産業の持続的発展に全力を尽くします」と話し、協力を求めた。
また、観光庁の高橋一郎長官は来賓あいさつで「急速な観光需要回復により人手不足、オーバーツーリズムに加え、生産性の低さなど構造的問題が顕在化しています。観光の付加価値を高め、価値に見合う対価をしっかり受け取り収益をあげ、投資と人材育成を進め、次世代に受け継げる観光地、観光産業であるような、持続可能な発展が重要です。観光庁としてしっかりお手伝いしたい」と協働を呼びかけた。
総会では23年度事業報告と決算報告、会費改定などを審議し、承認した。
このうち23年度事業では政府への提言をまとめ▽能登半島地震からの観光復興への支援▽観光地・観光産業の人手不足への支援▽財源不足に悩む観光DMOへの一層の関与―などを求めたことなどを報告した。
会費改定は1997年度以来で、年会費を従来の12万円以上から18万円以上に引き上げた。
24年度は従来からの事業をベースに①観光立国の実現と観光産業の価値向上に向けた政策活動②DX推進などイノベーションの促進③DMOの機能向上など持続可能な環境づくり④働きがいのある職場環境づくり―などに取り組む。