震災後の地熱対応 日本温泉協会・総会、今年度の重点事業に
日本温泉協会(1505会員)は6月23日、山梨県・湯村温泉の常磐ホテルで会員総会を開いた。任期満了に伴う役員改選で廣川允彦副会長(那須湯元・松川屋那須高原ホテル)を新会長に選出し、4期8年務めた瀧多賀男会長は名誉会長に就任した。
瀧会長は東日本大震災で被災にあった人たちに哀悼の意を示した後、震災と原発事故で地熱開発が注目を集めていることに言及。「無秩序な温泉掘削には反対。温泉は短期ではなく長期で見ないとどのような影響があるかわからない」と指摘し、既存温泉の源泉の枯渇、温度低下を危惧した。地熱開発から温泉を守るには地域の創意が必要で、団結して取り組む必要性を訴えた。
廣川新会長は「実行力のある方々が副会長として、私を支えていただくということなので会長を引き受けた。ご協力をお願いしたい」と抱負を述べた。
議案審議では入会基準の変更や一般社団法人に移行することを審議し、承認した。今年度事業は(1)会員の拡充・事業の見直しによる財政の健全化(2)公益法人制度改革を踏まえた組織のあり方を検討(3)地熱関連の動向についての情報収集と対応―を3重点目標として取り組む。
また学術委員会も「何か問題が起こってから対応するのではなく、問題を先取りし解決に結びつく委員会にしたい」との考えを示した。
役員改選で副会長には、石村隆生さん(常務副会長=箱根仙石原温泉・仙郷楼)▽山村順次さん(新=千葉大学名誉教授)▽根津文博さん(川湯温泉・御園ホテル)▽佐藤好億さん(二岐温泉・大丸あすなろ荘)▽岡村興太郎さん(法師温泉・長寿館)▽森行成さん(野沢温泉・さかや旅館)▽八木眞一郎さん(新=あわら温泉・八木)。カッコ内の新は新任。
学術部委員会の綿抜邦彦委員長(東大名誉教授)は相談役となり、新委員長には山村副会長が就いた。
総会後、温泉協会理事で旅行作家の竹村節子さんが「日本を元気にするのは温泉から」を演題に講演。竹村さんは「東日本大震災以降。消費者の考え方が変わり、パブリックな見方をするようになった。地熱開発反対の主旨はわかるが、具体的な反対理由を示さないと、業界の利益誘導と誤解される危険性がある」と語った。