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地熱発電の無秩序開発に警鐘 日本温泉協会、自然保護の観点から声明

日本温泉協会(廣川允彦会長)は4月27日付けで「無秩序な地熱発電計画に反対」とする声明文を発表した。地熱発電は、再生可能エネルギーとして東日本大震災後に注目を集めているが、自然保護や温泉源保護などの観点から拙速な開発に警鐘を鳴らしている。

同協会が挙げる問題点は、発電のために必要な「蒸気や熱水を汲み上げる生産井は経年変化により減衰し、数年おきに新たな補充井の掘削が必要なことはこれまでの実績からも明らか」とし、発電出力維持のため絶えず新たな掘削が繰り返されることから周辺の「地形の改変」や「環境破壊」「温泉源への影響」が危惧される点。

特に、掘削した蒸気や熱水は高濃度の硫化水素やヒ素などを含む。これらは河川などに排水できず、還元井から地下に戻すことになるが、還元時に硫酸などを添加するため「土壌汚染」や「地下水汚染」が懸念されるという。

また、還元井から地下に戻す際には地層の割れ目に人為的な高圧力をかけることから「地滑り」「地盤沈下」「水蒸気爆発」などが発生する恐れもあると指摘する。

日本温泉協会では、こうした悪影響を避けるため「電力確保と温泉資源保護の二つの公益性が共存することが前提」として次のように提案する。(1)行政や温泉事業者など地元の合意(2)客観性が担保された相互の情報公開と第三者機関の創設(3)過剰採取防止の規制(4)継続的かつ広範囲にわたる環境モニタリングの徹底(5)被害を受けた温泉と温泉地の回復作業の明文化。

その一方で、声明文では「地産地消の温泉発電(バイナリー発電)やヒートポンプによる温泉熱利用など、既存の温泉の余熱は有効に活用すべきと考えています」とし、理解を求めている。

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