京都から700キロ巡行の「日本廻国」、東京・日本橋で御開帳 江戸街道プロジェクト後援
千葉・千倉の寺院「高徳院」(千葉県南房総市)の住職である星孝芳さんは10月21日、京都を8月28日に出発して約700キロ先の千倉まで像高66センチの「千倉観音」像と共に巡行する「日本廻国」で、東京・日本橋に到着した。日本廻国を後援する「江戸街道プロジェクト」(国土交通省関東運輸局)の関係者のほか、日本橋を訪れた多くの人が参集。日本橋では御開帳が行われ、千倉観音と結ばれた綱を握った参拝者が願いを込めた。日本廻国は11月5日に終える予定。
約1250年前に開山したと言われる高徳院は、江戸時代であった300年ほど前から日本廻国を実施。日本を揺るがす大厄災が発生するたびに行われてきた巡業で、修行でもあった。今回は、コロナ禍の激甚災害から懸命に復興を遂げた当山地域の人たちと共に「命」を主題に掲げ、日本国民の安寧と長久を祈りながら、千葉から京都の往復1400キロを歩いている。10月8日には、難所である神奈川・箱根を通過。千葉に到着すれば、約200年ぶり4回目の達成となる。
参拝した東京都江戸川区の親子は「子どもの第1志望の学校への合格を祈った。たまたま日本橋を訪れたが、良い機会に恵まれた」と話した。江戸街道プロジェクトを推進する関東運輸局の岡村清二観光部長は「日本では何百年という歴史のあるものが改めて注目を浴びている。江戸の歴史・文化が広まるきっかけとなった」と手応えをつかみ、同観光部の冨澤雄一次長は江戸文化の広がりによる観光産業の発展を願った。
17年前から日本廻国の実施を考えていたという星住職は、長距離の巡業で左足に痛みを抱えるが、「ゆく先々で人が集まり、多くの人が観音様に願い事を立てた。その多くの人の気持ちを受けると痛いとは言っていられない」と話す。苦労したことについては、「上り下りが多い山道は自分との戦いだった」と振り返る一方、「箱根では25、26人が集まり、一緒に乗り越えることができた」と日本廻国で生まれた新たなつながりに感謝した。
参拝者に向けては、「人は直近のことを主に願いとして込めるが、7年や10年の期間でいろいろなことを描いてほしい。しばらく経つと次の壁ができてしまうが、なるべく先の未来について考えることで、その未来に良い意味で引っ張られる。7年、10年が近付いてきたら次の目標は勝手に出てくる。常に先を描きながら前に進むことを忘れないでほしい」と述べた。
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