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熊本宇城・上天草へ地旅モニター ANTA岡山、広島支部招き実施

11/04/05

熊本県宇城市と上天草市は3月8―9日、「大人の修学旅行モニターツアー」を実施した。全国旅行業協会岡山県支部(近藤幸二支部長)と広島県支部(花岡正雄支部長)の会員28人が参加した。

モニターツアーは、九州新幹線の全線開通を直前に控え、都市住民のとの交流を促進しようと企画。両市の歴史や文化など学びの要素を持たせたほか、特産のフグ料理が安価に食べられることもアピールするねらい。ツアー内容は、上天草市の日本内外旅行天草営業所が固めた。

一行は新幹線、JR線を乗り継ぎ、宇城市の三角町に到着。明治三大築港のひとつ三角西港をボランティアガイドの案内で見学した。明治20年(1887年)、オランダ人技師の設計で開港した港内は石積みの埠頭、水路など当時の姿を今なおとどめている。2002年には国の重要文化財に指定され、08年には世界遺産暫定リストに登録されている。

一帯には洋館が建ち並び、貿易港として栄えたことが想像できる。NHKのスペシャル大河ドラマ「坂の上の雲」のロケ地にも選ばれ、最近では若い人も増えたという。

三角西港界わい

宇城市の三角西港界わいを散策

宇城市特産の蘭を栽培販売する戸馳(とばせ)花の学校では、温室内を見学したほか、花のキーホルダーづくりに挑戦した。わずか15分ほどの体験だったが、女性参加者には特に好評だった。

再び三角港に戻り、船で上天草市に渡る。船内で売っているえびせんは、カモメのエサ。有明海の島々の眺めとともに、延々と船を追いかけるカモメの群れも見どころ。

天草で今人気なのがイルカウォッチング。野生のイルカを98%の確率で見られるという。なかなか遭遇できず、参加者同士で「もしかして2%かも」と言っていたが、ゆったりと泳ぐさまに出会えた。

イルカウォッチング

天草で今人気が高いイルカウォッチング。
遭遇率は98%という

一転、山と森に囲まれた教良木地区を散策。高齢化率が40%を超え、過疎化が進む地区を元気にしようと活動する地元の人たちに案内してもらう。この地区は、キリシタンが多い天草でも異例の村だったという。45度の斜度で長さ280メートルにわたり岩床を流れる観音の滝がそのシンボルで、水が豊かだったため石高が高く改宗する人が少なかったのだそうだ。

この地区の精神的支柱だった金性寺で精進料理をいただく。魚の天ぷらを模したガネアゲと呼ばれるイモの揚げ物、座禅豆、アーモンド豆腐など地元の山で採れたメニューが卓いっぱいに並ぶ。秀逸だったのはお茶ごはんで、ほとんどの参加者がおかわりをしていた。

天草温泉ホテル松竜園海星で行った市担当者と参加者の意見交換で、市側からは「九州新幹線が開通し、旅行商品化が課題になっている」と提起。花岡支部長は「売れる要素はある」とし、近藤支部長は「大動員のかけるマスツーリズムとは一線を画し、趣味や体験を楽しめる地域として売っていくべきではないか」などとアドバイスした。

天草出身で日本内外旅行の池田孝昭会長は「少人数向けのタクシープランなども計画している。岡山、広島からぜひ誘客したい」と呼びかけていた。

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