震災の影響色濃く 兵庫県内の中小旅行社、8割が取扱額減少
全国旅行業協会兵庫県支部(児島武支部長)と兵庫県旅行業協同組合(菅原博美理事長)はこのほど、東日本大震災の影響と要望調査アンケートの結果をまとめた。支部会員、組合員合わせて68社から回答を得た。
アンケートではまず、受注・契約済みの仕事への影響を尋ねた。6月8日の時点で、震災を理由にした旅行の取消・延期があったと答えたのは53社。件数では延べ2千1件で、金額では約6億9千万円だった。1社あたりは平均37.8件、1303万円に上った。
そのうち、95.1%の1903件は取消と翌年以降の延期(日時等未定)。さらに取消の94.0%・1783件は国内旅行で、金額では5億5500万円(旅行費用)だった。
震災後の新規受注の動向について前年の取扱額と比較してみると、65社中半数以上の35社が「大きく減少」とし、「多少減った」とした18社と合わせると81.5%が影響を受けていた。「変わらない」は11社、「多少増えた」は1社だけだった。減ったと回答した旅行社のうち、25社は20%以上の減少で、30%以上とした旅行社も14社に達した。
その結果、大なり小なり震災が影響しているとしたのは53社で82.8%だった。
今後の旅行需要の動向予測については「夏から秋には回復か」が12社、「年内には回復か」が19社あったものの、「今年いっぱいは回復は見込めない」は16社、「当分の間、回復は見込めない」も18社あった。
旅行需要の回復の条件として第一に挙げた項目で多かったのは「復興への国を挙げての全力投球」の21社と「原発政策の転換」の20社。次いで「国民・中小企業優先の経済施策」が10社となっている。(16.4%)。3つまでの複数回答でも「復興への国を挙げての全力投球」が延べ47社で、「原発政策の転換」34社、「国民・中小企業優先の経済施策」33社となっている。
最後に政治・行政への要望を記述式で尋ねたところ、中小企業優先政策や金融緩和策、登録更新条件の緩和など政策面に関するもののほか、原発問題早期解決や風評被害の一掃を求める声もあった。そのほか「関西圏60キロ内に原発が日本一多く、地震・津波・テロ・原発事故などあれば旅行だけでなく、文化、国家の存在自体問題に」という意見や、「復興財源に消費税はとんでもない」「今は、インバウンドより国内需要活性化策を」と訴える要望も。いずれにせよ「回復施策実行スピード」が求められるとした。
全旅協兵庫県支部と兵旅協ではアンケート結果を受けて7月、兵庫県の井戸敏三知事に宛てて要望文を作成。金利の引き下げや中小企業活性化策の実現、原発依存から自然エネルギーへの転換などを訴えている。