播磨の酒文化を訪ねて JTB西日本がモニターツアー開く
JTB西日本(髙橋広行社長)が10月26―27日に催行したモニターツアー「日本酒のふるさと『はりま』を訪ねる旅」。最高級酒米として名高い山田錦の産地・兵庫県播磨地方の酒蔵をめぐって名酒を堪能、地域の酒文化の神髄に触れる「酒蔵ツーリズム」だ。
ツアーは同社姫路支店が企画。観光庁の「官民が協働した魅力ある観光地の再建・強化事業」に選定されたもので、播磨地域12市町でつくる播磨広域連携協議会と、同地域の4酒蔵組合で構成するはりま酒文化ツーリズム協議会が協力して設定した。
山田錦の生産を手掛け、伝統の酒蔵が点在する地域性から「播磨は日本酒のふるさと」を地域ブランドテーマに掲げ、ツアーを通してその魅力を伝える。
ツアーには関西圏を中心に34人が参加。女性が多く、若い世代の参加も目立った。「コアな日本酒ファンというよりも『ちょっと日本酒に興味があって』という参加者が多かった」(同支店・横山隆之さん)そうで、幅広く播磨の酒文化や地域の魅力を伝えたいというツアー趣旨に沿った参加者が集まった。
大阪を発着地に、まずは加東市秋津の山田錦を生産する田んぼを見学。2日間で同市・神結酒造、姫路市・本田商店、壺坂酒造など多くの酒造所を訪れ、古い酒蔵見学と試飲を楽しむという行程で、宿泊地の塩田温泉・夢乃井では和酒ソムリエ・フードアナリストのあおい有紀さんによるミニ講座と利き酒大会も行い、日本酒の世界にどっぷりと浸かった。
最後に訪れた明石市・江井ヶ嶋酒造は明治創業の老舗で、今も伝統の酒蔵で酒造りを行う。日本で数軒しかないウイスキーの蒸留も手掛けており、参加者は興味深く見学していた。参加者は少し疲れもあったようだが、試飲のころには「甘い」「濃い」「すっきりしている」など弾んだ声が飛び交っていた。
同酒造での見学は基本的に平日のみだが、土日曜の今回は特別に対応。平石幹郎社長は「播磨の酒文化を広めてもらいたいと思い受け入れさせてもらった。日本酒に興味をもってもらえたようでたいへんありがたい」。
ツアーは12月にも実施。姫路市・田中酒造場で日本唯一の「石掛式天秤搾り」による新酒の搾り行程も特別に見学する。すでに東京や高知などからも予約があり、販売は好調だそうだ。
姫路支店・横山さんは「着地型のひとつのコンテンツとして可能性を探ろうと企画しました。姫路は来年の大河ドラマ『黒田官兵衛』ゆかりの地ですので、これら地元素材と酒蔵を絡めたいですね」と話していた。