ハラルとハラムの違いは 東京都旅協がムスリム対応セミナー
東京都旅行業協会(駒井輝男会長=東日本ツーリスト)はこのほど、東京・市ヶ谷の自動車会館で「ムスリム対応セミナー」を開いた。会員旅行会社やホテル経営者など100人が参加した。駒井会長は「ムスリムについての知識を高めたい」と期待を示した。
セミナーでは日本アセアンセンターの神田瑞穂さんが「ASEANからのムスリム受け入れ」をテーマにハラルとハラム、礼拝の習慣などについて話した。
東南アジアからの訪日旅行者が増えるにつれ耳にすることも多くなったハラル料理。イスラム法上、食べることが認められている食材や料理法のことで、これに対して食べてはいけない禁忌品のことがハラム。最近ではハラル認証を受けるレストランやホテルもでてきた。ちなみに魚介類や野菜、果物はハラル。お寿司が楽しみなムスリムも多い。
神田さんは日本ではハラル認証を行う機関がいくつかあるが、認証マークも共通のものがないことを紹介し、取得は1つのオプションだとアドバイスした。
「アセアンからのムスリムに食事を提供するのに、必ずしもハラル認証を取得する必要はありません。食品アレルギーやベジタリアンに食事を提供するように考えてほしい」
ただし、禁忌品であるハラムを出すことは避けたい。代表的なハラムは豚肉とアルコールだが、なかでも豚は禁物。ハムやソーセージはもちろん、見過ごしがちだが、豚肉由来の製品もダメ。例えば乳化剤やゼラチンも豚由来の場合があるので注意が必要だ。
では、移動中の食事の提供で困ったときは、どうするか。
神田さんは「コンビニでチンして食べるご飯が喜ばれました。スパイシー好きの彼らは、白米に一味唐辛子をふりかけて食べていました」と自らの経験談を披露していた。
レストランやパーティーでは、食材が分かるよう料理に食材をピクトグラムで紹介するメニューを用意してあげるのが親切な対応になる。
礼拝については、清潔で静かな場所を用意したい。通常、旅行中は朝と晩の礼拝は客室で行い、昼間の礼拝も必ずしも礼拝専用の空間は必要ないという。日本人が寺社仏閣にお参りするとき以上に、ムスリムは礼拝前には水でしっかりと身を清めることも知っておいた方がいい。特に脚は丹念に清めるから、そうした配慮ができれば、やはり親切。
ハラルについても礼拝についても、神田さんはどこまでの対応が可能なのかの情報を開示することで、相手に選択してもらうことが大切だと締めくくり「可能なことから始めてください」と背中を押した。