旅行業界とバス業界-取引適正化など影響は 東旅協総会で講演
東京都旅行業協会(駒井輝男会長=東日本ツーリスト)はこのほど、東京・市ヶ谷の自動車会館で2016年度総会を開いた。観光を通じた九州地方の復興支援に、協会員あげて取り組んでいくことなどを決めた。
総会前には同協会顧問で観光関連法に精通する三浦雅生弁護士が「軽井沢スキーバス事故を踏まえた今後の旅行業界とバス業界」と題して講演した。三浦弁護士は国土交通省が設置した「軽井沢バス事故対策検討委員会」の委員。6月3日に開かれた第10回目の会議で示された最終とりまとめ案や、今後の旅行業界への影響について私見を交えて話した。
まず、バス運賃の下限割れを防ぐための取引環境の適正化策として、貸切バス事業者と旅行業者間の運賃の上限・下限、手数料等を明記した書面の交付について「下限運賃は本来、運送業者が守るべきもの」とした上で、旅行業者にも「一見明白原則の適用で、明白におかしい料金についてはチェック義務を負うことになる」と話した。
問題点としては、旅行業界の実態として、旅行ピーク時には、当日朝に代車のバスが手配されることも珍しくないことも指摘し、現場の混乱に危惧を示した。
また、募集パンフレットに貸切バス事業者を明記することについても、代車対策として「A社、B社または同等の会社」と記載できるとして、その場合、同等の扱いについて「旅行業者が国交省が持っているバス会社の行政処分歴などの情報も使いながら、自社で内部基準を明確にしておく必要がある」と指摘した。ただし、基本的には緑ナンバーを持っていれば安全と考えてよく、旅行業者に責任はないという判例もあるとした。
一方で、大手ネットエージェントなどは、バス会社の安全性能や安全基準をウェブサイトに記載する方向にあり、今後は観光バスの車歴や搭載している安全システムに旅行者の注目が高まる見通しを示した。