重大事故時の支援整う ANTA、旅行災害補償制度に追加
全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)は4月1日から旅行災害補償制度に新たに「重大事故支援と補償制度」を追加した。旅行中の重大事故発生時に旅行者の安全確保と、旅行者の家族やメディア対応など旅行会社の事故対応を包括的に支援し、費用も保険でカバーする。4月1日以降、ANTA会員向けの旅行災害補償制度と海外企画旅行補償制度に自動的に適用する。
新たな補償制度は損害保険ジャパン日本興亜と共同開発したもので、取り扱いは旅行ビジネスサポートが行う。同制度では、ANTA会員が扱う国内・海外の企画旅行(募集型・受注型)、国内・海外の手配旅行、訪日旅行を対象に危機管理、危機対応を行う。重大事故時に事故対応専門会社「安全サポート」のチームが事故現場や事務所に急行し、旅行会社が行うべき対応を細かくサポートする。担当者が必要な期間、事務所に常駐するほか、被災者の救援費用や家族の現地入り費用、食事代、事故対応のための臨時雇用の人件費、弁護士相談費用、記者会見の会場設営や対応といった諸費用を「新旅行事故対策費用保険」で範囲を広げて補償する。
重大事故の対象となるのは、1事故で1人以上が死亡した場合か、1事故で1人以上が通算して3日以上入院した場合。支払限度額はそれぞれ1千万円と100万円。これにより掛け金は1旅行者あたり19円加算される。
ANTAでは2016年1月の軽井沢スキーツアーバス事故を受け、会員の重大事故支援について検討。同年10月には「旅行業重大事故支援システム」を開始している。ただ、制度利用するための個別の契約は伸び悩んでいたという。
保険と紐づけされた補償制度についてANTAの有野一馬専務理事は新制度の説明会で「費用の補償も含め保険と連動させてほしいという会員からの声を多くいただいていました。今回の制度は全旅協旅行災害補償制度に加入した会員すべてが利用でき、緊急事故発生時により万全な体制ができたと考えています。広く周知し、利用を勧めたい」と話し、ANTA会員の保険利用の拡大にもつなげたい考えだ。
現在、全旅協旅行災害保険は約5600会員のうち3700会員が利用し、年間では20万件の旅行で約640万人の旅行者をカバーしている。
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