ヘルシンキ訪問① 北欧最大の旅行博―MATKAを取材
北欧最大の旅行博MATKAが1月16-19日に、フィンランドの首都、ヘルシンキ市内の展示場MESSUKESKUSで開催された。トラベルニュース社はアジアのメディアとしては唯一、ビジネスフィンランド(商務部)から招待され、現地を訪問、旅行博とヘルシンキの最近の事情、北欧における旅行のトレンドを探ってきた。
旅行博主催者の発表によれば、今年のMATKA(フィンランド語で「旅」の意)には、日本を含む89カ国から、997の出展があった。来場者数は昨年より5.7%増の68,300人だった。
今年の主要テーマは”Sustainable and Responsible Tour” (持続可能で責任のある旅行)。16日11時からのオープニングセレモニーで、フィンランド政府観光局のパーヴォ・ヴィルックネン長官は、次のようにサステイナブル・ツーリズムの重要性を訴えた。
「フィンランドにおいてGNPに占める旅行収支は森林業と並ぶものになっており、その重要性はますます増加している。そしてグレタ・トゥンベリーさんを例にあげるまでもないが、旅行業における次世代の消費者、Z世代、α世代の購買行動は我々が考えるより早いスピードで変化してきていると感じている。それは量より質であり、所有より経験であり、みかけより真正性という価値観の変化にあると思っている。その中で旅行業が今後も栄えていくためには環境、社会、文化そして経済的な観点で、持続可能で責任を持てることが必要であると考える。まずは、オーバーツーリズムのネガティブな要素を理解し防ぐこと、そして次に大都市、地方都市双方に存在する観光地を守ること、観光地の管理と開発を統一的な視野に立ち、同じ目線で行うことが大事であると考える」
翌17日には、サステイナブル・トラベルコンペティションのファイナリストにノミネートされた5団体によるプレゼンテーションが行われ、自然保護やCO2排出の少ない交通手段の提供だけではなく、固有の伝統や食文化を観光に生かした取り組みを紹介した、バルト海にあるエストニアの島の観光協会、ビジットサーレマー(Visit Saaremaa)が最優秀賞を受賞して賞金3000ユーロを獲得した。
同旅行博に日本からは、日本政府観光局、フィンエアーと共同運航便を飛ばしているJAL、北海道観光推進機構、三重県名張市が出展した。北海道は、世界的に有名になりつつあるパウダースノーを、そして名張市は熊野古道につながる、トレッキングなどのアクティビティをアピールしていた。これら日本ブースへは期間中10,330人が来訪した。
2019年、日本とフィンランドは国交樹立100周年を迎えた。19年の日本からフィンランドへの渡航者は117,981人、一方、フィンランドから日本へは27,116人(2018年)が渡航した。
出展ブースを回りながら、日本にはサステイナブル・トラベルに対する意識の高い北欧の旅行者にも十分アピールできる要素は多いと感じた。
ヨーロッパと異なる日本独特の自然やユニークな伝統文化だけでなく、自然と人の共存、資源のリサイクルやリユース、清潔で正確で、エコな日本の鉄道サービスなどは、サステナブルにポジティブな旅行先として日本をアピールできそうだ。つづく
文と写真 肥塚由紀子
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