「メイト」「ホリデイ」終了、店舗・従業員削減へ KNT―CT、コロナ禍打撃で事業構造改革
KNT―CTホールディングス(米田昭正社長)は11月11日、取締役会を開き事業構造改革の実施を決議、同日発表した。コロナ禍の直撃による経営状態の悪化から、店舗削減、従業員削減、そして長く親しまれてきた「メイト」「ホリデイ」ブランドの終了など、まさに根本からの改革に踏み切る。JTBやHISも店舗削減の方針を示すなど大手旅行会社が次々に従来のビジネススタイルからの転換期に突入。近年、社会の変化に伴い旅行会社のあり方が問われていた中、コロナ禍が変革を性急に迫った格好だ。旅行業界が激変の時を迎えている。
2021年3月期の通期連結業績予想では、コロナ禍の需要減退から売上高は前期比63・7%減の1400億円、営業利益は250億円の赤字、純利益170億円の赤字と厳しい状況。自己資本は9月末の段階で12億円、自己資本比率は1・4%にまで悪化、コロナかで旅行需要の早期の回復も見込めないことから、事業構造を抜本的に見直し、経営資源を専門性、収益性の高い分野に集中させる方向へ舵を切った。具体的には、収益力を持つクラブツーリズムや首都圏エリアの法人旅行事業を中核事業に据え、近畿日本ツーリストの個人旅行、団体旅行はウェブ販売や教育旅行、地域交流事業などに力点を移す。
近畿日本ツーリストの個人旅行事業は、国内、海外ともダイナミックパッケージを中心とするウェブ販売へ軸を移行。旅行相談もオンラインが中心となる。これに伴い、国内旅行の「メイト」、海外旅行の「ホリデイ」の商品販売は2021年3月末で終了。個人旅行店舗は現在の138店から22年3月末までに約3分の1まで削減する。
団体旅行事業についても需要回復が見込めない状況から規模を縮小。教育旅行事業、地域交流事業に集中させ、団体旅行支店は現在の95支店をから22年3月末までに約70支店に集約する。店舗・支店の統廃合に伴い、22月4月をめどに地域会社各社も合併する。
グループ全体のコスト削減に向けては、24年度末までに新規採用の抑制や希望退職の募集などで従業員を現在の約7千人の3分の2まで縮小。希望退職は原則35 歳以上の従業員を対象に21年1月4―22日に受け付ける。役員報酬や従業員給与の減額、事務所面積、海外現地法人の縮小などもあわせて、22年度には構造改革前に比べ約200億円の経費削減を見込む。
一方で、収益力を維持しているクラブツーリズムを中核事業のひとつとして強化。ライフスタイルビジネスとして「新・クラブ1000事業」を開始し、オンライン上でのコミュニティ構築を促し、講座や座談会、イベントなどをサブスクリプション形式で有料で提供する。事業のフランチャイズ化で地域を切り口にしたクラブを創設、着地型旅行商品の開発など旅行事業につなげていく。21年6月に事業を始め、24年度までに有料会員数100万人を目指す。
強化ポイントのひとつである近畿日本ツーリストコーポレートビジネスによる首都圏エリアでの法人旅行事業は、MICE需要の拡大に向け、21年4月1日に訪日旅行専門のKNT―CTグローバルトラベルと合併する。
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