人員・店舗削減でスリム化、顧客軸から「ツーリズム」「エリア」「ビジネス」へ事業領域を再整理 JTBの構造改革
JTB(山北栄二郎社長)は11月20日、2020年4―9月期グループ連結決算を発表した。新型コロナウイルス禍の直撃で、売上高は対前期比81・1%減の1298億円にとどまり、営業損失711億円、経常損失580億円と大幅な減収減益に。純損失も782億円の赤字となった(11月21日に速報済み)。これに伴い、旅行需要の回復には時間を有すると見通しから、中期経営計画を策定し、大幅な構造改革に着手。店舗や人員削減に踏み切り、需要回復から発展期までを見据えた事業構造の変革にも取り組み、新時代の旅行会社像を築いていく。
20年上期はコロナ禍による未曽有の事態に直面。夏を迎えても旅行需要の回復はみられず、グループ全社の緊急コスト削減策で経費全体を圧縮したものの大幅な減収減益は避けられなかった。
部門別の売上高は、国内旅行が同85・0%減の399億円、海外旅行が同90・8%減の219億円、訪日旅行が同92・6%減の28億円、グローバル旅行が同79・4%減の109億円だった。
旅行需要の回復が当面見通せないなか、コロナ禍によるライフスタイルの変化、デジタル化の進展などの環境から、中期経営計画「『新』交流創造ビジョンを策定」「経費構造改革期」「回復―成長期」「成長―飛躍期」の期間に分けた構造改革に臨む。
経費構造改革では、国内グループ会社を統合するなどして10社、海外事業所を190以上、国内店舗を統廃合するなどして150店減らす。グループ要員数は21年度までに6500人減らし、22年度の新卒採用を見合わせるなど人員削減にも切り込む。クラウド化やスリム化によるシステム改革、テレワーク推進など働き方改革にも取り組むほか、次年度までに限定した一時的な人件費削減などで約1400億円のコスト削減を図る。
事業構造改革では、旅行など既存ビジネスの変革と、生産性向上による利益率の大幅な改善、ステークホルダーの広がりを生かした新たなビジネスの構築による成長を目指し、事業領域をこれまでの個人、法人、グローバルの顧客軸から「ツーリズム」「エリアソリューション」「ビジネスソリューション」の3分野へ再整理する。中長期的には450億円規模の営業利益を安定的に生み出す体制を目指すという。
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